SEO
SEO (Seach Engine Optimization:: 検索エンジン最適化)とは、自身のWebサイトを検索エンジ シンが評価しやすい形に最適化し、結果的に上位表示させることで、サイトへの流入を増やし、それに よってコンバージョン数や売上のアップにつなげていく施です。
例えばWeb制作会社であれば、 「Web制作会社」 と検索窓にキーワードを入力して検索をしたとき、 自社サイトがページ上部に表示されやすくなるように対策します。 上位に表示されることで多くの ユーザーの目に止まり、クリックされやすくなります。 こうしてサイトへの訪問者が増えることが、 SEOのメリットです。 Google検索が最初に作られて以来、トラフィック数は年々向上しており、昔 と比べてSEOの注目度はより高まってきています。
また、近年のコロナショックにより展示会やセミナー、テレアポなどでのリード獲得が困難となり ました。 多くのBtoB企業がオンライン施策に力を入れていますが、BtoBサイトは、 企業名や製品名 を指定した指名検索からの訪問が多く、コンバージョンにつながる自然検索流入はほぼ指名検索 ということも珍しくありません。
SEOを行う場合、 企業名や製品名に限らず、一般キーワードも積極的に狙うことで、今まで接点 をもてなかったユーザーにまでアプローチが可能になります。 本項では「検索を通じてビジネスを成 長させるSEOの考え方」について解説していきます。
BtoB における SEOの考え方
これからのSEOの役割
課題を抱えるユーザーは、解決策やヒントを得るために検索し、コンテンツをチョイスして課題解
決に至ります。 この基本フレームは、ここ20年間変わっていません。 Googleの検索エンジンは、 「検 した人が見たい情報にすぐにたどりつける検索ツール」 であり続けるために日々アルゴリズムの変 更を行い、継続的にアップデートしています。
そのため、担当者はアルゴリズムの変更に併せて対応を求められます。 よく 「SEQはいたちごっ こ」 と言われることもありますが、そもそもSEOは検索エンジンをハックするものではありません。 Googleは創業当時から 「検索者の意図を的確に汲み取り、 適切なコンテンツを返したい」という思い があります。 その中でSEOが果たす役割は、 Google側の思想を理解したうえで、 多くの検索ユーザーが検索結果を通じてサイトにたどりつける状態を作ることです。
では、BtoBで考えると、 SEOはどのような役割を果たすのでしょうか?
近年、BtoB でも自社の製品・サービスの認知獲得やリード獲得のため、 SEOに取り組む企業が増 えています。 ITコミュニケーションズが実施した「BtoB商材の購買行動に関するアンケート調査」に よると、製品やサービス検討のきっかけ(情報収集初期) になった主な情報源として、「企業のウェブ メディア」 と答えている人が多数を占めています。
コロナ禍でオンライン化も進み、多くのBtoB企業が従来の飛び込み営業 テレアポ。 展示会だけ ではなく、オンラインでリードを獲得するための施策を行う必要性を感じています。 SEOを行えば、 上位表示されているキーワード次第では、比較的短期間に商談や成約につながるリードを捉えること が可能です。
今後はモバイルファーストを意識する
これまで、 Googleのインデックス対象はPC版のページでした。 クローラーがPCで表示した画面 をもとに、サイトにどのような情報が載っているかを判断していました。 しかし、いまでは、スマー トフォンの画面をインデックス対象とする、 モバイルファーストインデックスに変化しています。
BtoBではPCからのアクセスが多くなる傾向があるため、どうしてもスマートフォンへの対応が疎 かになりがちです。 しかし、 BtoB企業でもGoogleアナリティクスで見てみると30%近くがスマー トフォンからの訪問だったというケースもあります。 Googleがモバイルファーストインデックスを 進めている以上、モバイルアクセスへの対応も適切に行うべきです。
順位だけに依存しすぎるのは危険
アルゴリズムによって、 検索結果が大きく変動することが度々起こります。 しかし、それによって 一喜一憂してはいけません。 そんなことでは、SEOの本来の効果を見失ってしまい、長続きしない でしょう。
KPIとして順位をメインに見ている企業も多く見られます。 しかし、実際には、順位以外の変化も 併せて見ることが望ましいです。 そのため、Google AnalyticsやSearch Consoleを用いてサイト 国内で起こった変化を調査したり、サイトに合わせていくつかのKPIを設けたりすることをおすすめし ます。 弊社では、セッション数やサービスページ遷移数などをKPIとし、データを追っています。
また、集客経路としても、SEOだけに頼るのではなく、ほかのチャネル)も検討しましょう。 例えば、広告(リスティング・ディスプレイ・リターゲティング・SNS広告など)やSNS、メルマガや す。 SEOを行ったからといって、 「広告を止めてもいい」というものではありません。 前述のとおり、 外部媒体など。SEOだけに依存せずに、適切な集客施策を検討し、流入を最大化することが大切で SEOは中長期的な施策で、時間もかかります。 SEOと別の施策を併用するなど、集客全体をカバー できる流入チャネル設計をしておきましょう。
BtoBの検索行動について
BtoBの特徴として挙げられるのは、ターゲットがBtoCに比べて狭いことです。これは、BtoBの 検索市場(検索する可能性がある人)が小さいというだけで、検索されないわけではありません。 また、 検索ボリュームが比較的少ない複合キーワード(ロングテールキーワード) で検索しているユーザー も多いものです。
実際に、米企業のコーポレート・エグゼクティブ・ボード社によるレポートによると、”BtoBビ ジネスにおいて、担当者と会う前に57%の購買プロセスが終わっている。”と言われています。
つまり、問い合わせに至る前に、担当者は検索含め、なにかしらの情報収集を事前に行っているわ 「けです。さらにBtoBの場合、 1件あたりの単価がBtoCと比べて高く、に伴う関係者も複数いる ため、リードタイムが長いことも特徴として挙げられます。 BtoBのサイトに訪れるユーザーは、社 内的な事情を踏まえて情報収検討比較を行っているのです。
その中でマーケティング担当者として求められることは、ユーザーの悩みやニーズに対して、サイ トをして解決策を提示することです。 具体的には、ユーザー情報収集討・比較という行動を 取る際に検索窓に打ち込むキーワードに対応したページを用意します。 イメージとしては「Web上の 「相談相手」のような感じです。情報を求めるユーザーに対して、正しい答えを返すページを用意します。 それが結果として、サイトの認知やサービスへの興味につながることもあります。
しかし、ただページを用意すれば良いというものではありません。 ユーザーによってリテラシーの 度合いもさまざまです。 深く情報を理解している人もいれば、情報収集が足りていない層も一定数い ます。 また、ユーザーによってはインプットの度合いも異なります。 そのような前提を踏まえたうえ で、ユーザーのターゲティングを考える必要があります。 ターゲティングの方法については後ほど 3C分析にて解説します。
限られたリソースの中でSEOを考える
BtoBビジネスにおいて SEOを行う場合、最初の壁となるのがリソースの問題です。 別業務との掛 け持ちや1人マーケターが多く、 SEOはおろかWebマーケティング自体にかけられる時間・予算・ 工数が限られているケースがほとんどでしょう。
その中で考えるべきことは、 “限られたリソースの中で、最大限にSEOの効果を出すにはどうすれ ばよいか”ということです。 わかりやすいコンテンツの量産や細かい内部改善など、 「SEOテクニカ 「ルな施策」と考える人は多いですが、それがSEOで最大限効果を発揮するとは限りません。
BtoBの場合、「SEOテクニカルな施策」という考えをいったん捨てましょう。 SEOはマーケティ ング施策の一つです。 つまり、マーケティングは「売れる仕組みを作ること」に紐づくプロセスであり、 最終目的は集客ではありません。 そのため、集客した後に起こるCVや、営業が動くプロセスまで見 据えて施策を考える必要があります。
複雑な話に聞こえますが、要は「売上につながる顧客を獲得」 すれば、 SEOの最短経路になるとい うことです。SEOに取り掛かる際には、このことを念頭に置き、いかにして売上につながる顧客を 獲得するか、戦略を考えてから動いてください。 これにより、限られたリソースで無駄な施策に工数 をかけることなく、結果を出すことにつなげられます。
「売上につながる顧客」を理解するためには、顧客と接点をもつ営業やCSと一緒に、ワークショッ プを行いながら顧客のことをディスカッションすると良いでしょう。 営業から出てくる現場の話や顧 客の課題は、SEOに活かせることも多いものです。 施策から取り掛かるのではなく、まずは顧客を 理解するところから始めてみましょう。
SEOの期待値調整と予算の決め方
SEOは広告と異なり 「効果」 を感じるまでに広告に比べて時間がかかります。 SEOを実施するとき
では、効果が出る時間軸をあらかじめイメージしておくことが重要です。
デジタル広告は月単位でPDCAを回すことができます。 SEOは半年~1年でPDCAを回す土台がよ うやくできてきます。 しかし、1、2年本気で取り組めば大きなアルゴリズム変更や、サイトに大き な欠点がない限りは、既存記事のリライトやメンテナンスでトラフィックやお問い合わせを獲得できます。
SEOとは? 広告との違い
SEOは積み上げ資産形成の施策
SEQは広告と違い、ある一定の期間は積み上げ時期として必要ですが、その後、 作成したコンテンツは、長期に渡り貴社事業を支えるWebサイト資産となります。
SEOを始めるときは、中長期のプロジェクトとして想定し、目標やKPIをしっかり定めたうえで、 社内のメンバーとの期待値調整や効果が出るまでの時間のすり合わせを行うことが重要になります。
デジタルマーケティングは、経営層が費用対効果について理解しているかが、 運営状況を大きく左 右します。 BtoBの最近の傾向として、展示会やセミナー、 広告に対して投資していた費用が、 デジ タルに大きくシフトしています。 広告やリアルチャネルでは大きなコストがかかっていましたが、そ れを経営層が許容していたのは、コストに対する売上を見て、 費用対効果としての数値で把握できで いたからです。展示会などは、 来場者と名刺交換をして説明するという、わかりやすい仕組みになっ ています。 出展する費用に対してどれだけの名刺が集まったのかも計測しやすいです。
しかし、それがSEOに変わると、 費用対効果を上司にわかりやすく説明するのはなかなか難しい。 です。 そのため、 マーケティング担当者と上司・経営者で感覚が大きく乖離しやすいところです。
SEOは会社の基礎体力としての財産をつくるもの。 中長期計画として取り組む必要のある施策です。 特定のキーワードで1位を取ることを目標にしがちですが、 それではSEOマーケティングを行う、 そもそもの目的からズレてしまいます。 マーケティング施策として行うのですから、有効商談あたり このコストを指標とするべきです。 しかし、リードのCVRはどのくらいが適切か、 どこまでコストをかけられるのかを把握できていないままSEOマーケティングを行っている企業が大半です。
何件の有効数を目標にするか、そのためにはいくら投資できるのか、デジタルマーケティング、 広告 SEO、コンテンツマーケティングに対してどのように予算を割り振るのかを少しずつ感覚値 としてもてるよう、根気よく試行していきましょう。
BtoB におけるSEOの取り組み
BtoBでSEOを始める場合、「サイトのSEOにおける課題点を把握しよう」「ビッグキーワードでの 検索順位を上げるためにコンテンツを作ろう」など、手段から入るケースがあります。ところが、手 段から入ると本質的な”目的”が不明確のまま進むことになるので、気づいたら遠回りになってしまう ことがあります。
SEOはマーケティングの一種であることを忘れてはいけません。 SEOにおいてもマーケティングのフレームワークを用いて戦略を立てることが重要です。そのほうが結果的に早く成果を得られるこ とになるでしょう。 次にBtoBでこれからSEOを取り組まれる方に向けて、「SEOの取り組み」について解説していきます。
SEOを 「やる、やらない」を、どのように考えればいいか
SEO自体は一つのマーケティング施策に過ぎません。マーケティング担当者は、「なぜSEOを行 うのか?」「SEOを実施することで事業にどんな影響があるか?」をしっかりと把握しておくことが 大切です。目先の施策にとらわれてしまいがちですが、目的やKPIと施策はセットで考えなければ、 PDCAを回すことはできません。
SEOと聞くと、「オーガニックトラフィックを増やす」・・・と考える担当者もいます。しかし、これ は目的ではありません。 事業成長や収益改善といった事業そのものにつながる内容を目的に定めるこ とが重要です。 目的は 「リード獲得増加」 や 「広告費の削減」など事業にインパクトを与えるものがよ いでしょう。
例えば、テレアポ中心で顧客開拓を行っていたA社では、コロナの影響で売上が伸び悩んでいると します。 その背景には、 テレアポでのリード数が減少し受注数が伸び悩んでいることが課題として学 げられます。この課題に対して考えることは、まず「リード数を増やす」ことになります。
「リード数」を改善するための施策として、従来のアウトバウンドセールスだけでなくインバウン セールスを強めるために、Webによる集客強化をA社は検討するとします。その場合、収益改善に つながる指標としては「Web経由でリード数を○件増やす」ことになります。
ここで多くの担当者は、SEOを行うことが目的になる傾向があり、「オーガニックトラフィックを 「増やす」を指標に置いてしまう人も多いですがこれでは収益改善には直接的につながらないのでNG です。
考え方としては「リード数を増やす」ことが目的にあり、それを果たす手段としてSEOがあるわけ です。なので、SEOに取り組む目的は収益改善や事業課題から降りてきたものであるべきで、SEO でその目的が果たせない場合はSEO以外の施策も再検討すべき、という話になります。
SEOの目的とKPIを明確にする
上述のとおり、 SEOに取り組むことを目的にするのではなく、事業課題を解決する手段として SEOを用います。 よって、 SEOに取り組む目的は改めて検討するまでもなく、 SEOに取り組むこと を決めた時点で 「CPAを下げる」 「Web経由でリード数を増やす」など明確に決まっているはずです。
目的が決まったら、次はKGIとKPIに落とし込みます。 KGIは「最終目標で、KPIは「KG」を達成 するためのプロセス指標」と理解してください。 たとえば、SEOに取り組む目的が「CPAを下げること」 ならば、KGIは 「CPA単価×円」、目的が「リード獲得」ならばKGIは「オーガニック経由のリード数XX件」 になります。 目的の達成度を数字で測るようにしてください。 KGIが明確になったら、そのKGIをさ 「らにKPIに分解していきます。
KPIはとくに重要です。 KPIは、 事業戦略と現場業務のズレを防ぐ重要な要素になるからです。 KPIは、KGIからブレイクダウンして考えましょう。 先ほどのKGIを「オーガニック経由のリード数 XX件」と定めた場合、リード数につながるポイントは「お問い合わせ」 「資料ダウンロード」のCVポイ ントが一般的です。 SaaSモデルであれば、 「無料トライアル」や「資料ダウンロード」もあるでしょう。 KGIである「お問い合わせ」 「資料ダウンロード」「無料トライアル」を改善するための指標がKPIです。 たとえばオーガニックのセッション数、 CVR、 離脱率・・・などです。
オーガニックの流入数だけでなく、 CVに近いページへの遷移数や、 CVR、フォーム内の離脱率な どをKPIとして定めるのが良いでしょう。 キーワードの順位を見る人もいますが、短期で取れるキー ワードと時間のかかるキーワードがあるため、キーワードをKPIに含めるべきかどうかはよく検討し てから設定することをおすすめします。
また、サイトを運用していくうちに、より細かなKPIに変更していくこともあります。例えば、キー ワードの平均順位、新規訪問者数など、状況に合わせてKPIを定めるのも良いでしょう。
3C分析と顧客ヒアリング
KPIや目的が定まったら、次は調査に入ります。 まずは3C分析です。 3C分析は一般的なマーケティ ングのフレームワークとして用いられることが多いですが、 SEOにも役立ちます。 今回はSEOを軸 3C分析の内容をまとめていますが、その他の広告やSNSのようなマーケティング施策を行う際にも有効です。
3C分析とは、 「Customer (市場・顧客) Competitor (競合)、 Company (自社)」の三つの頭文字 を取ったもので、マーケティングや戦略を立てるための環境分析とも言われています。
3C分析は、事実をもとに分析することが重要です。 調査していく中で仮説や企業側の意見を踏ま えて分析するケースもありますが、3C分析ができていなければ、戦略全体がブレてしまい、再検討 しなくてはならない事態に陥ることがあります。 顧客、 競合、自社の三つの前提が変われば、戦略も 変わります。 3C分析を行わずに戦略を立てると、戦略の見直しや、立て直しの工数が余計にかかってしまいます。
もし仮説など、事実から遠い情報しかないのなら、時間をかけてでも情報を集めて、事実ベース この内容を基に戦略を立てていくことをおすすめします。 とくにSEOを行ううえで重要となるのは 「Customer (市場・顧客)」です。 SEOの場合は、 検索行動を把握することが重要となります。
前述のとおり、 BtoBはBtoCと異なり、 決済 (決定要因) が複雑で関係者が多くなります。 1商品 あたりの単価が高いこともあり、購入までのリードタイムが長いことが特徴に挙げられます。 そのた 止め、サイトに訪れたユーザーがすぐにCVすることは少なく、 情報収集を行った結果としてCVするこ とがほとんどです。 ときに担当者の趣味嗜好や性別など、細かい 「ペルソナ」 を立ててSEOを実施す るケースもありますが、最初の時点で細かいペルソナは不要です。 イメージどおりのペルソナがCV するケースは全体のほんの一握りに過ぎません。 仮にペルソナを作ったとしても、施策を進めていく 中で別の有効なユーザーが見つかることや、 検索行動の変数が多岐に渡ることが多いため、 結果的に 詳細なペルソナは使われなくなることが多いのです。
細かいペルソナづくりに時間をかけるのであれば、直接お客様と接点のある営業担当者やコールセ ンターのスタッフ、あるいは、サービスを導入している顧客にヒアリングするほうが有効です。 アナ ログな手法ではあるものの、事実に近い情報を集めることができます。
社内のスタッフから集めたい情報には次のようなものが挙げられます。
●商談時によく聞くお客様の課題、悩み
●お客様が成し遂げたいニーズ
●相性の良い顧客像など
顧客にヒアリングする場合は、次の情報を集めると良いでしょう。
●問い合わせに至った背景(どこで知ったか、など)
●検討時に検索していた情報
●導入までの社内の決裁フロー
●サービスを導入した決め手など
社内スタッフからの情報を鵜呑みにするのではなく、顧客のヒアリングで答え合わせをするイメー ジで行うことがポイントです。 社内スタッフからの情報だけでは、個人的な意見やイメージが混ざっ ていることがあります。 マーケティング担当者としては、できるだけフラットな情報を得ることが重 要です。良い点も悪い点も、事実に基づくヒアリングを心がけてください。 とはいえ、お客様の心理 的な部分については、回答を得られないことも多いでしょう。 まずは、 前提知識として社内スタップ の情報をもち、その後、顧客にヒアリングすることで、”何が事実か”の答え合わせができます。
また、BtoBのWebサイトにおける主な役割は、 「営業につなげる前の段階」 です。 業界特有の汎用 的なユーザー像ではなく、自社のサービスやサイトを「知った」 「興味をもった」 「問い合わせしようと 思った」 キッカケを理解することが重要になります。 このような情報は定性的なものであり、 Webサ イトや解析ツールなどを用いても見ることができません。 キッカケなどの定性的な情報を得るためには、実際に顧客へヒアリングすることが必要です。
また、このヒアリングは3C分析の「Customer (市場・顧客)」だけでなく、その後に行う「SWOT分析」 にも活用できるため、なるべく多くの情報をこのタイミングで引き出しておくことを心がけましょう。
「Competitor (競合)」については、二つあります。一つ目はビジネス上の競合となる企業のことで す。社内でベンチマークとしている競合のことだと考えてください。 営業時にコンペで当たる会社や 類似サービスを提供している会社のシェア、提供サービスの違い、 実施中のプロモーションなどを網 的に見ていきます。
たとえば、人材紹介のナイルリクルートという企業があったとします。 この企業の競合は、 株式会 社マイナビ 株式会社リクルートなどになるでしょう。
二つ目は、「検索結果上での競合」です。SEOではビジネス上の場合だけでなく、検索結果上の競 合もあわせて見ておく必要があります。
たとえば先ほどのナイルリクルート株式会社が、「転職」というキーワードの検索結果で1位を取り したがっているとします。 しかし、「転職」の検索結果の1位は転職について語った個人ブログの場合も あります。つまり、通常のビジネスの場面では競合になりえない個人も、検索の世界では競合になる ことがあるのです。
もう一つ例を出しましょう。たとえばナイルが、リフォームを請け負うナイル工務店を運営してい たとします。実際のビジネスの場面での競合は、同じくリフォーム関係のサービスを提供しているエ 務店などが考えられます。 しかし、インターネット上でナイル工務店が「リフォーム」で上位表示し ようとした場合、リフォーム会社の価格比較サイトが上位に出てきてしまいます。 リフォームの価格 比較会社は実際のリフォーム業務を担うわけではないので、コンペなどで競うことはありませんが、 検索上では競合になりえます。
これにより、今後狙うべきキーワードの優先度や難易度も変わります。 競合を見つける方法として、ツールを使うことも考えられます。 簡単な方法としては、 実際にサービスと関連するキーワードで検索結果を見てみましょう。 検索すると、いつもベンチマークとしている企業のほかに、 情報メディアや比較サイトも上位にランクインしています。いくつかの関連するキーワードで検索してみて、よく 上位に出てくる他社サイトをいくつか開き、 サイト内のコンテンツやサイトタイプ (比較サイト・ 情報サイト)、 全体のページボリュームなどを事前に把握しておくことをおすすめします。
次図のように、横並びで自社と競合との違いを見てみるのも良いでしょう。 一覧にすることで、自社と競合との差分が分かります。
自社 | A社 | B社 | C社 | 個人ブログ Dさん | |
求人数 | 15万件 | 10万件 | 15万件 | 18万件 | なし |
記事コンテンツ数 | 24 記事 | 50 記事 | 100記事 | 40 記事 | 200記事 |
「転職」 キーワード の順位 | 31位 | 5位 | 3位 | 1位 | 12位 |
運用歷 | 2年 | 3年 | 8年 | 10年 | 6年 |
コンテンツの特徴 | •差しさわり のないコン テンツが多 い | •文字数 3,000 文字 •業界著名人 の寄稿記事 に力を入れ ている |
・比較記事が 多い 動画コンテ ンツも用意 している | ・用語集コン テンツが多 い | ・スクショが 多い 実体験が多 い ・実体験が多い |
「Company (自社)」については、比較的情報が集めやすく、イメージしやすいものです。 自社分析 にもさまざまな手法がありますが、SWOT分析のフレームワークが使いやすいでしょう。自社につ いては主に「自社の強み・弱み」という内部要因と、「機会」という外部要因に分かれますが、と くにSEOを行う上で深りしたほうが良いのは「自社の強み・弱み」です。
次に、今まで行った、 「Customer (市場・顧客)」のヒアリングと 「Competitor (競合)」の競合比較で、 自社の強い部分や他社と比べて劣っている部分をテキストに落とし込みます。その際は、長文ではな 端的に記せるくらい自身の中で情報をクリアにしておきましょう。
結論として、BtoBのSEOでまず考えるべきは「自社の強みを便益だと感じるユーザーを取り込む こと」です。ユーザーの求めているものが自社の強みとは異なる場合、たとえサイトへ訪れたとして もCVに至る可能性は低いでしょう。また、もしCVに至ったとしてもニーズとのギャップが生じ、 約までつなげることが難しくなります。そのため、いま提供している自社のサービスの中で「他社に 勝るポイント」と「ユーザーのニーズや成し遂げたいこと」のマッチする部分を狙うことが、 CVに る一番の近道となります。
たとえば、ナイルの強みは「SEOの内製化支援までできること」です。 ユーザーは「SEOを内製化 する方法」 や 「SEOの内製化のコツ」を知りたがっているとします。この強みとユーザーニーズが合 致している記事を作ることで、検索でサイトにたどり着いた人がナイルにコンバージョンしていきます。ナイルは毎月SEOニュースをまとめて配信するなど、SEOのトレンドにも強いです。しかし、 SEOの最新トレンドよりも内製化の方法のほうがユーザーに求められていると考え、SEOの内製化 に関する情報発信を強めてきました。
ユーザーの検討プロセスに合わせてファネルを考える
冒頭でも述べたとおり、BtoB商材を検討するユーザーは、リードタイムが長く、BtoCと異なり Webだけで完結することは少ないものです。 また、 少し話を聞いただけで購入に至るということは、 まずありません。 さらには、 意思決定に必要な情報も専門的です。
その分、SEO的な観点からも月間検索回数が大きなキーワードだけでなく、ユーザーの行動や検 討に併せてキーワードを選定することが重要です。 BtoBのキーワードは、BtoCに比べるとニッチ化。 する傾向にあります。 毎月1万、2万といった検索ボリュームではなく、 100を切るような、それこ そ10~20ほどしか毎月検索されないキーワードに対しても、適切に対応することが効果的です。
また、BtoBにおけるキーワード選定の難しさとして、最終的なコンバージョンに結びつきづらい 点が挙げられます。 検索ボリュームはあるものの、そのキーワードで検索している段階では、サービ ス導入までにまだ時間がかかります。 そのようなキーワードがBtoBには多く存在するのです。 上位 の取れそうなキーワードは顧客化しづらく、一方で、顧客化しそうなキーワードは、ほとんど寡占化 されている。これが BtoB企業がキーワード戦略を立てるときに直面する大きな壁です。
BtoBでSEOを実施する際には、購入者の心理状況を考慮しなければなりません。 上司から調べて おくように言われ、よく分からないまま検索している人もいれば、導入することは決まっていてど こをコンペに呼ぶかという段階の人もいます。 カスタマージャーニーにおけるあらゆるステージの人 がアクセスしてくることを念頭に置いて、 SEOをすることが必要です。
また、決済権限をもっているかなど、担当者の立場によってもキーワード選定は変わります。 それ ぞれの立場によって見るべきコンテンツは異なるし、 どれがコンバージョンポイントになるのかも異 なるのです。 可能な限り、購入者の心理状況に合わせた形で提供できるような工夫が求められます。
成約した顧客に購入の決め手を直接聞き、そこから逆算するのも有効です。 購入者が選ぶプロセス この中にコンテンツを適切な形で配備していく。 これが大きなフレームになります。 事前に調査した 3C分析を活かして、ユーザーがサイトに訪問するまでの流れと、サイトに訪問したあとの流れを「ファ ネル」でイメージしてみましょう。
SEOを行うときは、まず1番上の潜在層に狙いを定めるケースが多いですが、比較検討層・最終検討層のフェーズで”機会損失が起きていないか”をチェックすることも忘れてはいけません。
チェックする際には、特定のキーワードで検索した際に「問題なく結果に表示されているか?」「上位にきているか?」ということを見ていきます。
見るべきキーワードは次のとおりです。
●指名検索(サービス名・会社名)、指名×費用・事例
●ソリューション名(サービス)、ソリューション×比較
●課題キーワード(サイト使いにくいサイトリニューアル)
●ノウハウキーワード
ここからは、それぞれのキーワードに対して行うSEOを考えていきましょう。
最優先でチェックするのは、 指名検索
BtoBにおいて、指名検索を監視しておくことは重要です。 指名検索を行うユーザーは他社との比 較がほぼ済んでおり、 社名で検索してより詳細な情報を得ようとしている段階にあります。 また、 SEOに限らず、イベントや展示会、口コミなどで聞いた際に検索されるケースがあるため、サービス ス名や社名は確実に取るべきキーワードです。
社名で検索すれば、当然自社のサイトがトップに表示されると思うかもしれません。 しかし、実はそうでもないのです。 最近は多数のサービスを紹介している比較サイトなど、 他社のサイトでも上位 に表示されることが多いため、正式名称、 カタカナ、 略称などで検索し、検索結果をしっかり確認し ておきましょう。
基本的なことですが、 社名が横文字の場合、英語ではなくカタカナで社名を載せておかなければ、 社名で検索しても求人サイトしか出てこないことがあります。 Webデザイン会社や制作会社の中に は、こういった知見がないこともあるため、注意が必要です。 せっかく指名検索されているのに自社 のサイトが検索結果に表示されないのは、非常にもったいないです。
また、近年では、検索結果に位置情報が強く反映されるようになりました。 例えば 「Web制作」 で 検索すると、検索者のいる場所の付近について 「○○区のWeb制作会社」の形で検索結果が表示され あるのです。 BtoBの中でも作業工具などを制作している会社の場合、 例えばMonotaRO のような大規 なBtoB向けECサイトと競合するケースもあります。
また「○○株式会社 費用」のキーワードで検した際、費用に関するページではなく会社のトッ プページが出てしまうこともよく起こります。自社のサイトだからと油断せず、どのキーワードで検 された際にどのページが表示されるのかを、一つひとつ見ながら対応していくことが大切です。
コンバージョンに近いキーワード: サービス名と課題キーワード
続いて、サービス名や商品名に関連するキーワードです。 「サイト制作」や「SEO対策」 「MA」 「SFA」 などサービスに関する一般名詞でのキーワードは競合も多くいるため、 SEOを行う際、それなりの 時間と工数が必要になります。
ただ、ニッチな商品や自社しか提供していない強みをもったサービスについては競合が少ないため、 短い期間で検索上位を獲得することも可能です。 例えば製造業の場合、 型番などでの検索規模は少な いものの、購入意識の高さがうかがえるキーワードなので、積極的に狙うべきです。
一般的なサービス名の場合、 直接的なソリューションのキーワードでのSEOは、 結果が出るまで に時間がかかります。 短期で結果を出したいのであれば、そのサービスにつながる課題や悩みに沿っ キーワードでの上位表示を狙うことが望ましいでしょう。 先程のファネルにおける、準顕在層をター ゲットにします。
では、課題や悩みのキーワードをどのように見つけ出せば良いのでしょうか?
キーワード選びというと、SEOツールなどでの抽出がよく使われますが、 BtoBの場合、そもそも 「の検索ボリュームが少ないため、ツールだけでは抽出しきれないケースが多々あります。
大事なのは前述のとおり、「売上につながる顧客」そして「自社サイトでコンバージョンするであろ うユーザーを集客すること」です。そのためには、3C分析の 「Customer (市場・顧客)」 分析が力を 発揮します。ここでヒアリングした導入前の課題や悩み、情報収集段階で見た情報を、定性的なデー タからキーワードにして集めましょう。このとき、検索ボリュームの大小を気にする必要はありま せん。
すると、自社サービスにつながるキーワードが、顧客の声としてちらほら出てくるものです。その キーワードをリストとしてまとめ、競合性や対策の優先度を決定します。
比較的対策しやすい潜在層向けコンテンツ
多くのBtoB企業が「アプローチできていない層」への対策としてSEOを実施しています。 近年では、 オウンドメディアを構築し、コンテンツを製作することで自社サービスの潜在層へアプローチを図る 企業も増えています。
この対策のメリットは、キーワードの幅が広く収入の母数を拡大できることにあります。ただし、 ファネルの一番上の層にアプローチするため、訪問後に離脱するユーザーがほとんどで、なかなか大 きな効果を得ることができず、コンテンツ運用を諦めてしまうケースが多々見られます。
潜在層向けの記事を読んでいる段階では、まだコンバージョンに至らなくて当たり前。重要なのは、 根気強くコンテンツ運用を続けることです。 とはいえ、BtoBビジネスにおいて SEOコンテンツを作 る場合、お金や時間、労力といったコストがかかっています。役立つ情報を発信することは有意義で すが、決してボランティアではありません。 ですから、顧客リスト化のためにメルマガ登録フォーム を設置するなど、ライトでも良いので常に何かしらのコンバージョンポイントを設けておくことが大 切です。 情報を提供しただけで終わりにしないことがポイントです。
また、コンテンツとは、SEOだけのために作るものではありません。 読まれた先の行動も狙って いきましょう。 BtoBの場合、 決裁者が一人ではないため、集めた情報をチームで共有することが多々 あります。部下に教えたくなるコンテンツや上司に進言したくなるコンテンツ、言いにくいことを代 「わりに書いてくれるようなコンテンツなど、読んだ人が社内で誰かに共有したくなるテーマを扱いま しょう。 社内共有を想定して記事を作成すると、担当者だけではなく決に関係するメンバーに自社のサービスを知ってもらえる可能性が広がります。
コンテンツを展開しはじめると、やがてダイレクトトラフィックが増えていきます。 これは、読者 の周囲にメールや社内チャットで情報が共有されているためです。
潜在層向けコンテンツの場合、広告と併用することで顕在層を増加させることが可能です。 サイドに訪れたユーザーをリターゲティング広告によってフォローすることで「なんかこのサービスよく見 るな」と認知を獲得できます。 また、BtoBのニッチな分野の商材については、広告で補完すること も大切です。ニッチな分野であれば、 リスティング広告やリターゲティング広告もそこまで高額にな らないので、丁寧に広告で補完していきましょう。
自社のサービス領域において、 常に検索結果の1ページ目にサイトや広告を表示させることができ れば、その領域の従事者から、「よく目にするサイトだな」と認識してもらえます。 これがブランドイ メージの浸透につながるのです。 BtoB商材はBtoCに比べてリードタイムが長いため、 普段の検索 常に目に触れておくことができれば、いざそのサービスを導入する段階になったとき、第一想起 されやすくなります。
SEOとしては、もちろん検索結果に上位表示させることが大事です。 しかし、それだけでなく、 検索を通じてアクセスした後の行動もあわせて施策を考えることで、相乗効果が生まれます。 検索か この流入に縛られず、幅広いマーケティングを検討していきましょう。
リライトの重要性
SEOのために新規ページを作ることは大切ですが、既存のページをリライトすることも重要です。
コンテンツとしては優良なのに、 SEO上は評価されにくい書き方をしていることが多くあります。 新規の記事を作らなくても、既存のページをリライトして更新することで順位が大きく上がることは、 珍しくありません。 リライトは非常に重要です。 「新規に更新するより、書き直せ」とは、よく言われ ることです。
リライトをする際には、狙ったキーワードで上位表示されている記事(1~3位くらい)をチェック し、その記事よりも内容を充実させましょう。 ここで大切なのは、検索エンジンへの対策という意識 ではなく、「当社のページが一番顧客の役に立つようにする」という信念で作ることです。
実際、記事内にキーワードを何%入れるかといった小手先のテクニックは、効果がなくなりはじめています。 ユーザーにとって有益な記事を表示するアルゴリズムに、検索エンジン側も日々改善して いるのです。このコンセプトに我々も従い、「ユーザーにとって有益な記事を提供する」という観点か 記事を作成しなければなりません。
キーワードによって、競合も顧客化する可能性も大きく異なってきます。 これに対応するため、検 素行動ごとに中間コンバージョンを設け、徐々にナーチャリングしていくとよいでしょう。それぞれ そのキーワードを考慮しながら、次のように「導入」「中押し」「駄目押し」 と、構造的なコンテンツを作ります。
導入::マーケティングのフックとなるコンテンツ
中押し:商談に至るまでにサービスの必要性や重要性を理解してもらうためのコンテンツ
駄目押し: 最終的なコンバージョンを決めるためのコンテンツ。 お問い合わせフォームへの導線に なる。 事例記事などに多い
BtoBのSEO施策について
ここからはSEO入門者に向けて、 具体的な施策を紹介します。 SEOではクロール・インデックスを 効果的・効率的に行ったり、表示速度を改善したりします。 また、場合によってはエンジニアの協力 が必要になる技術的な対策や、 記事制作などのコンテンツ制作も行います。 さらには、どのようなテー マやキーワードで記事を作成するかを決めていくキーワード戦略・コピー戦略、 ユーザーが使いやす いサイトデザインなど、実に多くの施策が存在するのです。
ここでは、BtoBのSEOにおいて対策が必須となる部分と、余裕があれば対策を検討する部分とに 分けて説明していきます。
技術要件を整備する意味
これからSEOを始めようとするとき、キーワードや外部リンク獲得、コンテンツ制作から考える かもしれません。しかし、これらの対策を行ったとしても、技術要件が整備されていなければ、その 施策を流入に活かすことは難しいでしょう。
サイトがSEO要件を満たせていない場合
コンテンツやリンクが増加しても、それぞれが十分に評 価されない状態では本来得られるべきだったトラフィッ クが得られません。
コンテンツリンクの増加分が そのまま検索トラフィックに転換されない
サイトがSEO要件を考慮できている場合
正しい設計が行われているサイトでは、コンテンツやり ンクが増加した分、 その評価をトラフィックに転換する ことができます。
コンテンツリンクの増加分が そのまま検索トラフィックに転換される
この技術要件とは、検索エンジンがサイトをクロール・インデックスしやすいように設計することを指します。
クロールとは、検索エンジンが世界中のサイトの新しいコンテンツや更新されたコンテンツを見つ け、データベースに回収することです。 クロールは、「クローラー」 と呼ばれるロボットで行います。
インデックスとは、収集したすべてのコンテンツをデータベースに格納することです。 ユーザーが キーワードを検索した際に、瞬時に検索結果を表示させるよう、整理された形式でページの情報を格
納しています。 インデックスは直訳すると「索引」になります。
クローラーがデータベースにコンテンツを回収する
クローラーというロボットが、Web上のコンテンツを回収(クロール)し、データベースに引を つけて整理(インデックス)している、とイメージしてください。 クロールとインデックスの関係は、 「図書館」に置き換えると、わかりやすくなります。
クロールによってコンテンツを集める→図書館の本の中身を確認する
コンテンツをインデックスする→ 図書館の本をジャンルごとに整理して本棚へ格納する
図書館イメージ
もし自社サイトがクロールやインデックスしづらい構造になっている場合、 どれだけコンテンツを 増やしても、どれほどユーザーに役立つ情報があっても、 検索エンジンはそれに気づくことができま せん。 検索エンジンがクロール、 インデックスできないということは、 検索エンジンがあなたのサイト や、重要なページを認識していないことになります。 つまり、 検索結果に表示されることはありません。
だからこそ、技術要件を最初に整えておくことが重要なのです。 技術要件を整えているか、整えて いないかによって、将来的な流入数が変わってしまいます。
①最低限の技術改善
自社サイトが最低限の技術的なルールを守れているか、確認しましょう。
●noindex, canonicalは正しく設定されていますか?
●検索エンジンが読み込む際、時間のかかる画像やデザインはありませんか?
●すべてのページが内部リンクでつながっていますか?
最低限、これらの項目は確認しておきましょう。 この技術要件の改善は、ECサイトであれば上記 では足りず、より踏み込んで行う必要がありますが、専門的な話になるため、本書では割愛します。
②既存ページの改善
この行程に入る前に、キーワード調査を終えておく必要があります。 キーワード調査はユーザーの 検討プロセスに合わせてファネルを考える を参考にしてください。 このファネルに沿っ してキーワードを整理し、ファネル最下層のコンバージョンに近いキーワードから、流入を狙っていきます。
まずは、いまあるページから改善していきましょう。 既存ページの改善は、工数をあまりかけずに、大きく成果を得られる可能性が高いためです。
たとえば「価格表」「事例」 「比較表」など、コンバージョンに近い検索キーワードでの流入が期待で きるにもかかわらず、上位表示できていないページはないでしょうか。 もしあれば、そのページから 改善していきます。 改善のポイントを、具体的に列挙します。
●タイトルタグを見直す
●内部リンクを集める
●コンバージョン導線の見直し
●テキスト量を増やす
●見やすいレイアウトに変更するなど
③受け皿ページの作成
コンバージョンに近いキーワードがわかっていながら、そのキーワードを拾えるページが存在しない場合は、新たにページを作る必要があります。
新たなページを作るかどうか迷ったら「1キーワード、 1URLの原則」を参考にしましょう。1つの URLでは1つのキーワードを狙ったページしか作らないということです。 結果的に複数キーワード による流入を獲得できるページになるケースもありますが、制作時点で狙うものではありません。 新 親のページは、「1キーワード、 1URLの原則」にしたがって制作します。
たとえばナイルの場合は、 「SEO内製」と「インハウスSEO」でそれぞれ記事を作成しています。
④ コンテンツ作成
コンテンツ作成は、「③受け皿ページの作成」 と取り組み内容自体は近いものになります。 サービス ページ側が整い、コンバージョンに近いキーワードでの流入が見込めるようになったら、大きく流入 を増やすための取り組みとして、ビッグキーワードを狙ったコンテンツを作成していきます。
⑤ SEOの内部技術改善
サイトのページ数が増えてきたら、改めてサイトの技術要件をチェックしておきましょう。
SEO施策を始めるなら今がチャンス
SEOは、効果が現れるまでにどうしても時間がかかってしまいます。 しかし、以前に比べれば経 コンセンサスを取りやすくなっているでしょう。
例えば広告費用がかさんでしまい、CPAを下げたいと思っても、運用型広告で広告費を下げるの には限界があります。 しかし、 ナイルのお客様には、SEOに取り組んだことでCPAが10分の1になっ たという事例があります。 このように、SEOで結果を出しているケースが増えていることから、 営層のSEOに対する理解も以前よりかなり進んだと感じています。
また、著者の企業では、1年ほどで内製化まで支援することができますが、理想を言えば、2~3 年は見ておきたいところです。 初めてSEOに取り組む場合、いきなり全面的にSEO対策をすること はできません。 まずは、自社で「ここの部分だけはやり切る」 とスコープを短く、狭く取り、そこで 成果をあげていく。それを繰り返して、一つずつ変化を出していくことが大切です。
最初は順位でもセッション数でもコンバージョン数でも構いません。 そのような数字が伸びている ことを、取り組みの過程できちんと社内共有し、 「SEDには可能性がある」と示しましょう。 SEOへ の期待を社内で勝ち取ることが、最初の半年~1年のステップです。 経営層からSEOへの期待が高まれば、SEOの取り組みにしっかり投資してもらえるようになります。もしまだSEOに取り組んでい ない場合には、新たな顧客獲得チャネルを増やすチャンスです。
検索結果のリッチ化が加速
Googleでの検索結果が変化しています。 2000年代初期の頃は、タイトルとリンクが並ぶシンプル な結果表示でしたが、今では画像や動画も表示され、 Google ビジネスプロフィールや強調スニペッ トも増えてきています。 検査結果自体の情報が豊富になっているのです。
Google ビジネス プロフィール
強調スニペット
検索結果については、自分たちでアプローチできる部分とできない部分があります。まずはアプロー チできる部分から対応していきましょう。 Google ビジネスプロフィールに自社の情報を登録するこ とで、ナレッジグラフに表示される機会を得ることができます。
ナレッジグラフとは、Googleが検索したキーワードからユーザーの求めている情報を推測し、関 連情報を表示する機能のことです。検索結果の上位に表示されるため、ユーザーへの訴求力が高い。
位置情報を反映した検索結果
検索キーワードによっては、 検索結果は位置情報の影響を大きく受けます。 検索した人の近隣の情 報が検索結果に反映されます。 全国展開している企業の場合、 位置情報はとくに注意が必要です。 例 えばSEOの担当者が東京にしかいなければ、 検索結果の検証は東京で行われます。 すると、東京に 「おけるSEO対策は万全でも、地方の支店での検査結果には他社が出るという事態になりかねません。
どのキーワードで位置情報の影響を受けるのかを把握することが重要です。 ここで有効な打ち手と なるのが、 Google ビジネス プロフィールの運用です。 Google ビジネスプロフィールとは、自社 の情報を登録することでGoogle検索やGoogleマップに情報を表示させることができる無料ツール のことです。 事業所ごと、 支店ごとにGoogle ビジネス プロフィールへ登録しておくことをおすす めします。ただし、Google ビジネスプロフィールは、悪質なレビューを書き込まれてしまうリスク もあるため、注意が必要です。
画像検索、 動画検索
ユーザーの検索行動として画像検索が増えています。 BtoBにおいても、図解情報がほしいときな どに画像検索が用いられます。 今は画像やデータが検索結果に表示されるようになったため、テキス ト以外の情報を見たいユーザーのニーズにも応えることが、SEO施策として有効になりつつあります。
画像自体もある程度認識されていると言われていますが、基本的には前後のテキスト情報やベージ 全体の内容から画像を認識していると考えられています。 Googleなどの検索エンジンでは、クロー ラーと呼ばれるシステムがWebサイトを巡回し、ベージを収集、その情報を元に検索結果を表示し
ます。
しかし、コンテンツをクロールされないように制御する「robots.txt」というファイルによって、 クローラーの巡回をブロックしていることがあります。まずは、画像を検索エンジンがクロールでき る状態にしておくことが、有効な施策です。
まとめ
SEOは、B2Bマーケティングにおいて重要な戦略です。これにより、ウェブサイトは検索エンジンにより評価されやすくなり、上位表示され、ウェブサイトへの流入が増加し、それがコンバージョンと売上の増加につながります。Google検索の普及により、SEOの重要性はますます高まっています。
SEOを効果的に行うために、ウェブサイトの分析は非常に重要です。ローコードを使用して作成されたウェブサイトは、ウェブサイトのパフォーマンスを評価するためのウェブ分析ツールを統合しており、ウェブサイトのパフォーマンスを評価するのに役立ちます。アクセス数、トラフィックソース、ページ滞在時間、離脱率などを追跡することで、SEOのパフォーマンスを評価することができます。ウェブサイトを最適化し、効果的なSEO戦略を実行する際にお手伝いが必要な場合は、お気軽にNALへお問い合わせ ください!