ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な言語モデルの一種で、人間との対話に関連するタスクに特化して調整されたモデルです。2022年11月に公開され、たちまち無料で利用できる革新的なサービスとして注目を集め、生成した文章の見事さや人間味のある回答がSNSなどで大きな話題となりました。これだけ話題となっているChatGPTとは、一体どのようなサービスなのでしょうか?本記事では、このChatGPTについて詳しく解説します。
1. ChatGPT(チャットGPT)とは?
ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な言語モデルの一種です。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、Transformerアーキテクチャを使用しており、自然言語生成、言語理解、文章生成などのタスクに利用されます。原語のGenerative Pre-trained Transformerとは、「生成可能な事前学習済み変換器」という意味です。
GPTは、GPT-2、GPT-3とバージョンアップしており、2023年3月にGPT-4が公開されました。GPT-4のパラメーター数は公式に発表されていませんが、1つ前のGPT-3.5は3550億ものパラメーターを持っているとのことです。
スイスの金融グループUBSの分析によると、ChatGPTがアクティブユーザー数1億人に到達するのにかかった時間は、TikTokとInstagramがそれぞれ9カ月と2年半であるのに対して、2か月と史上最速です。
※ 開発会社のOpenAIの概要
ChatGPTの開発会社であるOpenAIは、2015年12月に設立されたアメリカの非営利団体です。AIを日々研究し、社会やビジネスに活用可能なAIを提供しています。
OpenAIはほかに、AI画像生成ツールの「DALL·E」や文字起こしサービスとして活用できる音声認識モデル「Whisper」などのAIサービスも提供しています。
OpenAIは、Elon Musk、Sam Altman、Greg Brockman、Ilya Sutskeverなどの起業家、投資家、研究者たちが創設した非営利団体です。
2. ChatGPTの仕組み
ChatGPTは、簡単に言うとWeb上にある膨大なテキストデータを解析し、入力された質問への回答を生成する仕組みとなっています。
もう少し具体的に述べると、前章で説明したGPT-3に人間のフィードバックを反映させた強化学習(RLHF)を用いて微調整した「Instruct GPT」というモデルをベースにしています。Instruct GPTは、人間によるフィードバックを反映させることで、GPT-3の問題点として指摘されていた非道徳的な文章出力の可能性を低減していることが特徴です。
ChatGPTは、このInstruct GPTをベースに、さらに人間との対話形式のデータを学習させたツールになっています。
3. 活用方法5選
・文章の作成
ChatGPTは、ユーザーから与えられた指示に基づいた文章の作成が可能です。これまでもAIによる文章作成ができるツールはありましたが、ChatGPTはその中でも「自然で読みやすい日本語の文章の生成ができる」ことが最大の特徴となります。
ただし、テーマによっては、ある程度の手直しが必要になる可能性が高いです。文章の作成で活用するときには、文章の推敲やファクトチェックなどの添削が必要であることを認識しておきましょう。
・翻訳
ChatGPTには翻訳機能も搭載されています。日本語や英語をはじめ多言語に対応しています。現在も言語モデルのトレーニングによって学習を繰り返しているため、翻訳の質が向上していくでしょう。
・要約
ChatGPTは、与えられたテキストデータからポイントを抜き出して、要約した文章を作成できます。先述した通り、要約の内容には間違った情報が含まれる可能性があるため、人の目で推敲やファクトチェックを行う必要があります。
・質疑応答
ChatGPTは、投げかけた質問に対して適切な回答を返答してくれます。カスタマーサポートなどで活用できれば、顧客の問い合わせ対応の効率化につながります。繰り返し学習すれば、過去にあった問い合わせから適切な回答を生成できるため、人手を介さずにユーザーサポートが可能です。しかし、精度を担保するには時間がかかるでしょう。
・コーディング
ChatGPTは、指示された内容に基づいたプログラミングが可能です。プログラミング言語の種類は問わず、指定した言語のコーディングをしてくれます。
例えば、企業のWebサイトを構築しようと思ったときに、表現したい内容をHTMLでどのように記述すればいいかを質問すると、その内容に応じたHTMLコードを返してくれます。ただし、指示を明確にしないと想定しているコードを作成してくれないため、指示の仕方にはコツが必要となるでしょう。
4. 優れている点
・回答の精度が高い
ChatGPTは、さまざまなデータを繰り返し学習するアルゴリズムが採用されているため、精度の高い回答が期待できます。先述した通り、ユーザーのフィードバックを繰り返し学習するので、時間を経るほど精度も向上するでしょう。
また、一般的な内容だけではなく、専門的分野の質問にも回答が可能です。回答に加えて、ユーザーの指示に沿った内容の文章も作成できます。
・GUIが分かりやすい
GUIとは、Graphical User Interface(グラフィカルユーザインターフェース)の略称であり、コンピューター上で操作するための画面表示や入力機器を使った直感的な操作方法のことです。ChatGPTは、チャット形式での利用ができるため分かりやすいGUIであることも特徴の一つです。利用方法は後ほど解説しますが、登録をすればチャット欄に入力するだけで、その質問や指示に適した回答をしてくれます。
・有益な情報を提供してくれる
ChatGPTは、学習しているデータの範囲が非常に広いため、多様なトピックについて有益な情報を提供してくれます。質問に対して迅速に回答するだけでなく、会話の流れを理解してフォローアップの質問をすることも可能です。
さらに、常に最新の情報を学習しつつ多言語に対応しているため、グローバルな視野から情報を提供できます。そのため、ChatGPTはビジネス、教育、医療、カスタマーサポートなど、様々な分野で有用なツールとして活用が期待されるでしょう。
5. 注意点
・必ずしも正確な情報とは限らない
ChatGPTは、Web上の膨大なテキストを解析して質問に対する適切な回答を生成する仕組みではありますが、必ずしも正確な情報とは限りません。
質問内容によっては、事実関係が不正確な情報を回答する場合があるため注意が必要です。
したがって、ChatGPTの回答は参考にしつつも、ChatGPTの回答を記事などに利用する際は人間の目による確認が不可欠です。
・最新データは反映されていない
ChatGPTは、2021年9月までのWeb上のテキストデータを基に作成されているため、最新のデータは反映されていない点にも注意が必要です。
そのため、たとえばその日に発生した最新の経済ニュースに関しての考察を聞くことはできません。最新の状況から乖離している可能性がある点にも注意する必要があります。
・悪用されるリスクがある
ChatGPTは、あたかも人間が書いたような文章を作成できることが大きな特徴です。しかし裏を返せば、人間が書いた文章なのかChatGPTが書いた文章なのかを区別できなくなるリスクがあるということです。
たとえば、ChatGPTを使って、偽りの情報を人間が書いたように見せかけてWeb上やSNS上で広めるような悪用も不可能ではないでしょう。
利用する側のモラルはもちろんのこと、情報を受け取る側にとっても情報の真偽を慎重に確かめる姿勢が求められます。
・タイムラグやフリーズが発生することがある
ChatGPTは、世界中で多くの利用者に日々利用されているため、レスポンスに時間がかかる場合があります。また、特に長文の質問を投げかけている場合などは、ChatGPTが回答している途中でフリーズしまうケースも少なくありません。
途中でフリーズした場合は、「続けて」や「Continue」のような指示を出すことで回答が再開されますが、ChatGPTに質問を入力して長時間離席するような使い方は現状では難しいと考えられます。
6. ChatGPTの将来性
ChatGPTは、2023年2月より有料プランがリリースされたことも踏まえると、今後さらなる高度な機能や処理が追加されていくことが想定されます。現状では、質問があった場合のスポット利用や個人による興味本位での利用が目立ちますが、今後は企業での採用や従業員への導入教育など組織としての利用が定着する可能性もあるでしょう。
一方で、ChatGPTの競合となるAIツールの登場も予想されるため、ChatGPTの勢いが今後も同じペースが続くかは定かではありません。将来のAIツールがどのような状況になったとしても、利便性を享受しつつ、自分の目でも確かめる姿勢がユーザーには求められます。
まとめ
ChatGPTは、人々の行動やビジネスモデルを大きく変える可能性があります。チャット形式で質問し、知りたい情報を得られるサービスが普及することで、従来のような検索エンジンを利用する人が減少すると予測されています。