京セラを一代で世界的な企業に成長させ、経営破綻した日本航空の会長として再建に尽力した京セラの稲盛和夫名誉会長が今月24日京都市内の自宅で老衰のため亡くなりました。90歳でした。
稲盛和夫
1932年、鹿児島市に生まれる。1955年鹿児島大学工学部を卒業後、京都の碍子メーカーである松風工業に就職。
1959年4月、知人より出資を得て、資本金300万円で京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。代表取締役社長、代表取締役会長を経て、1997年から取締役名誉会長(2005年からは名誉会長)を務めた。
また1984年、電気通信事業の自由化に即応して、第二電電企画株式会社を設立。代表取締役会長に就任。2000年10月、DDI(第二電電)、KDD、IDOの合併により、株式会社ディーディーアイ(2001年にKDDI株式会社へ社名変更)を設立し、取締役名誉会長に就任。2001年6月より最高顧問となった。
2010年2月には、政府の要請を受け日本航空(JAL、現日本航空株式会社)会長に就任。代表取締役会長を経て、2012年2月より取締役名誉会長(2013年からは名誉会長)、2015年4月に名誉顧問となった。
一方、ボランティアで、全104塾(国内56塾、海外48塾)、約15,000人の経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成に心血を注いだ(1983年から2019年末まで)。
また、1984年には私財を投じ稲盛財団を設立し、理事長(現在は「創立者」)に就任。同時に国際賞「京都賞」を創設し、毎年11月に人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。
アメーバ経営とは
稲盛氏は、少人数の集団を組織して採算の向上を図る「アメーバ経営」を提唱したことでも知られています。
「アメーバ経営」は、稲盛氏の実体験から生まれた経営管理の手法で、社内の組織をアメーバと呼ばれる数人ずつの小集団に分け独立採算で運営するものです。
それぞれの小集団で事業の計画や目標を立てることで部門ごとの採算を高めたり、活動の成果を分かりやすく示したりすることで、社員のやる気を引き出し考え方です。
また、こうした経営や組織運営を行うベースとなる考え方が稲盛氏の経験則から生まれた「フィロソフィ」と呼ばれる哲学=考え方です。
「人間として何が正しいか」を判断基準に、人として当然、持つべき根源的な倫理観や道徳観、それに社会的規範にしたがって誰に対しても恥じることのない公正明大な経営や組織運営を行っていく重要性を説いたものです。
こうした稲盛氏の経営哲学は、NAL VIET NAMの経営再建にも生かされました。