日本企業をはじめ、多くのIT人材外国企業が、委託先の候補地として真っ先に名前を挙げるのがベトナムです。ベトナムはもはや単にコスト削減のための委託先ではなくなってきていると言われています。ベトナムのIT人材といえば「若さ」「豊富さ」「勤勉性」「技術に精通する」等、抽象的な言葉が挙げられますが、具体的にどんな特徴を持っているでしょうか。また、東南アジアや南アジアにある多くの国のなかで、なぜベトナムのIT開発技術がこれほどまでに期待されているのでしょうか。今回は、なぜベトナムがIT人材大国となったのか、ということについて説明していきます。
1. ベトナムはなぜIT人材大国へと成長できたのか?
Vietnam IT Market Reportによりベトナム国内には48万人のIT技術者が存在しております。人材の輩出だけでなく、ベトナムはインフラの整備や外国企業の誘致も積極的に行っています。たとえば、JETROの「ベトナム 教育(EdTech)産業 調査」によれば、ベトナムのインターネットの利用率は70%(日本は83.4%)、スマートフォンの保有率は93%(日本は86.9%)で、スマートフォンの保有率は日本を上回っています。 これは、携帯電話(フィーチャーフォン)やパソコンの普及前にスマートフォンの普及が始まったためにこのような結果となっているのですが、93%という数値は成人のほぼ全員がスマートフォンを持っているということを示しています。
デバイスの普及を支えるのは、インフラの充実度です。つまりベトナムのインターネット普及率とインフラ整備の度合いは、先進国にまったく引けを取らないレベルに達しています。そして、ベトナム政府は、外資系IT企業の誘致も積極的に行っています。外資系IT企業の誘致は、下請けなどによる国内IT産業育成のためだけでなく、国内にたくさんいるIT技術者の雇用を促進することにもなります。そのためベトナム政府は、ハードウェアおよびソフトウェア分野でベトナムに進出する外資系IT企業に対し、4年間の免税期間と9年間の減税期間を提供しています。
このような国を挙げての教育政策、インフラ整備、企業誘致などが実を結び、ベトナムはIT人材大国へと成長したのです。
2. ベトナム人技術者・企業が得意なIT分野
ベトナムITマーケットレポート(Vietnam IT Market Report)を発表しているTOPDevの資料によれば、ベトナム人技術者が得意な言語は、以下のようになっています。
- Javascript(5%)
- Java(1%)
- PHP(43%)
- Python(9%)
- C#/.Net(1%)
- Objective-C(5%)
- C++(2%)
- Ruby(8%)
これらの言語は世界中のソフトウェア開発のニーズに合致しており、開発できる技術分野も以下のとおり幅広いものです。
- バックエンド(5%)
- フルスタック(4%)
- フロントエンド(0%)
- アンドロイド(1%)
- iOS(1%)
このようなことから、ベトナムにオフショア開発を委託する業種は、以下のような業種が多くなっています。
- ソフトウェア開発
- Webシステム開発
- スマホアプリ開発
- HP制作
- ゲームアプリ開発
- イラスト、アニメーション外注、キャラデザイン制作
- データ入力
上記のような業種は開発費に占める人件費の割合が高く、日本国内ではコストダウンし難いのが現実です。そのため、人件費で有利な東南アジアや南アジアに開発依頼することが多くなります。特にベトナムはこのような業種に対応できる技術力とコストのバランスに優れているので、委託先として最適です。
また、忘れてはいけないのが最新技術への対応です。現在ベトナムではAI(人工知能)やビッグデータ、ブロックチェーンなどの最新技術に対応できる技術者が増えており、日本では賄いきれない高度な技術者の充足も可能になっています。もはやベトナムは、単にコスト削減のための委託先ではなくなってきているのです。
3. 今後も成長が見込めるベトナムIT市場
国を挙げてのさまざまな施策が実を結び、アジア屈指のIT人材大国となったベトナム。今後はどのように発展していくのでしょうか。
ベトナム政府は、今後も国のデジタル化、DX化を推進していくために、さまざまな施策を打ち出していくことを表明しています。
2020年、ベトナム政府は「2025年までの国家デジタルトランスフォーメーション(DX)プログラムおよび2030年までの方針」という計画を承認し、首相が政府議定「749/QD-TTg」に署名を行いました。
政府議定「749/QD-TTgとは、ベトナムが2030年までに高度なデジタル国家になるための数値目標を定めた公式文書です。
この文書のなかには、2030年までに「光ファイバーのカバー率100%」や「ICT開発指数(IDI)順位 世界30位以内(日本は2017年に10位、ベトナムは108位)」、「世界競争力指数(GCI)順位 世界30位以内(日本は2018年に5位、ベトナムは88位)」、「ブロードバンドカバー状況 全国で5G利用可」などの具体的な目標が定義されています。
従来からベトナム政府は、外資系IT企業やオフショア開発の誘致、IT人材の育成に力を入れてきましたが、今後はこのプログラムと合わせて、国のDX化や行政のデジタル化、IT化を強く推進していく計画なのです。
4. レベニューシェア・モデルのラボ型開発「アクティブラボ」
ラボ型開発は基本的にメンバーを固定して開発を進めるため、開発のノウハウが蓄積されやすく、メンバー交代による非効率さもないのが特徴です。開発メンバーの固定は日本国内で行うとコスト高となってしまう可能性が高く、開発効率は高いものの現実的には難しいとされています。
当社NALではレベニューシェア・モデルのラボ型開発「アクティブラボ」とそれに繋がる「ベトナム現地の開発拠点設立支援」というサービスがあります。「アクティブラボ」は一般的なラボ型開発ではなく、長期で安定的なリソースを確保し、プロダクト開発をスピードアップし、更に海外進出も支援することができるモデルです。
具体的に、「アクティブラボ」は以下のような課題を解決させていただきます。
- 開発コスト削減
- 中長期の開発リソース確保
- 新規プロダクト開発のスピードアップ
- 開発・運用の内製化
- 海外進出・グローバル展開・ベトナムで開発子会社設立
- ベトナムでのIT企業買収などの支援
今まで5年間、日本の会社の4社の開発子会社設立(合計600人のエンジニア規模)に支援してきました。
※「アクティブラボ」のページ:https://www.activelabo.jp/
まとめ
ベトナムは政情的にも安定しており、安全とコスト、開発能力のバランスが取れたIT人材大国です。ベトナムの多くの優れた人材をオフショア開発に活用すれば、日本よりコストパフォーマンスに優れたシステム開発が可能になります。
NALで「採用コストを抑える」・「エンジニア不足を解消する」に対応する弊社のサービス「アクティブラボ」を提供しています。
場所の制約をなくし、海外IT人材を自分達の社員のように、リモートエンジニアを調達し、継続的に開発リソースを確保することになります。
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