ラボ型開発(ラボ契約・ODC)とは?
ラボ型開発とは、オフショア開発における開発形態の一つで、「ラボ契約」や「ODC(オフショア開発センター)」とも呼ばれます。作業要因×期間に対する契約となりますので、契約形態でいうと準委任契約になります。つまりある一定期間、海外のエンジニアを確保して開発できるもので、オフショア開発企業の中に専任の開発チームを持てるようなイメージです。
そのため、ラボ型開発では仕事の有無に係らず、あらかじめ優秀な人材を自社専用に確保しておくことで、柔軟に開発を依頼することができ、かつ同じ人材を継続的に確保できることから仕様やノウハウを蓄積できる特長があります。
これまでラボ型開発では、半年や1年程度の期間でエンジニアを確保することが一般的でした。しかし最近では、1ヶ月単位でのラボ契約や月単位での人数の増減変更、最小1名からのラボ契約など、柔軟なラボ型開発を提供するオフショア開発企業が増えています。
たとえば、以下のようなニーズがある企業には有望な選択肢となってくる開発スタイルでしょう。
◆定期的に案件があり、自社専用の優秀な人材を確保したい
◆オフショア先で仕様・ノウハウを蓄積することで、効率的に開発を進めたい
◆仕様が決まっていない、あるいは仕様変更が見込まれるプロジェクトを抱えている
◆自社のリソースが不足することがあるので、流動的に開発ラインを増強したい
◆今後自社でも海外に開発ラインを持ちたいと考えているが、
まずはオフショア開発のノウハウを蓄積したい
ラボ型開発のメリットは?
ラボ型開発にはどのようなメリットがあるのでしょうか。大きなメリットを3つ取り上げたいと思います。
メリット①優秀なエンジニアを一定の期間、自社のチームとして確保できる
ラボ型開発が盛んに行われるようになった背景には、日本のIT人材不足が関係しています。
オフショア開発が行われるベトナムやフィリピンなどアジアの新興国では、若い優秀なエンジニアが豊富にいます。ラボ型開発を行うことによって、スキルを持ったエンジニアを自社のリソースとして確保することができます。
ラボ型開発は、外国人エンジニアを「雇用」するわけではないので、ビザの手配、雇用に伴うコストやリスクを負わなくてすみます。
請負型契約の場合、エンジニアはプロジェクトごとの契約になるため、他のプロジェクトにアサインすることはできません。しかしラボ契約の場合は、必要に応じエンジニアを別の案件にもアサインすることも可能です。
一時的に開発ラインを増強したいときなど、短期間だけエンジニアを雇用するのは困難ですが、ラボ型開発は必要なときだけ柔軟にリソースを増やせるのがメリットです。
メリット②仕様の変更も柔軟に対応できる
ラボ型開発は「仕事の完成」を目的とした契約ではないので、納期に縛られることはありません。プロジェクトの途中で仕様の変更が生じても、柔軟に対応できるのが大きなメリットです。
一方、請負型開発は基本的に仕様変更に応じることができません。いったんプロジェクトが始まると、契約に基づいて仕事を完成させなければなりません。仕様変更の際は別途契約を締結する必要が生じ、追加の費用も発生します。しかしラボ契約の場合、契約期間内であれば仕様変更に関する制限はありません。
ラボ型開発は最初に仕様を固めてしまわずに、開発しながら変更を加えられるというメリットがあります。そのため、何度もテストを繰り返しながら開発していくアプリやAIなどの開発で利便性があります。
「アジャイル型」で開発を行う場合、リリースを早く行ない、ユーザーの反応を見ながら改良・修正していくことも可能です。
メリット③ノウハウを蓄積できる
請負型開発の場合は、プロジェクトごとに単発で新しいチームを編成します。そのため、成果物が納品されるとチームは解散になり、ノウハウが溜まっていきません。
一方、ラボ型開発の場合、1つのプロジェクトが終了しても、契約期間中はチームとして仕事を続けます。終了したプロジェ
ラボ型開発のデメリットは?
ラボ型契約のデメリットについても考えましょう。
デメリット①チーム構築に時間がかかる
ラボ型契約の場合、発注者となる日本企業が主体にチームをマネジメントしていきます。文化も言語も異なるチームを自社のチームとしてうまく機能させるため、案件開始までに1〜3ヶ月程度チームビルディングのために時間を要します。
オフショア開発に不慣れな企業の場合、チームをうまく使いこなせず、プロジェクトが失敗に終わるケースもあります。
ラボ型開発は中長期の開発プロジェクトになるため、スタート時点でしっかりと人員を見極め、チームを構築する必要があります。
デメリット②チームを使いこなさないと逆にコストがかかる
ラボ型開発は期間で結ぶ契約です。プロジェクト終了後も契約期間が残っていれば、仕事がなくてもコストが掛かります。
そのため契約期間内にリソースを無駄にしないための計画が必要になります。定期的に案件がない企業、または単発の案件では逆にコストがかかってしまうことがあります。
デメリット③品質や納期に関して責任が少ない
請負契約の場合は委託先(海外ベンダー)がすべて成果物の品質と納期に関する責任を負います。しかしラボ契約の場合、成果物に対する品質や納期が厳密に担保されているわけではありません。
「すでに要件定義が詳細に定まっている」「いつまでに完成させたいという期限がはっきりしている」という場合は請負型開発のほうが適しているでしょう。
まとめ
オフショアのラボ型開発は安い人件費で自社専用のリソース確保できるので、アジャイル開発や継続的な開発プロジェクトに向いている開発手法です。
一方で現地での採用やチームビルディング、品質基準のすり合わせに時間がかかるデメリットもあります。
ラボ型開発を成功させるためには、現地での採用やラボ運営ノウハウが豊富で、
デメリットの対処法を理解しているパートナー企業を見つけることが不可欠になります。
NALでは、10年以上のオフショアのラボ型開発実績があり、ベトナムの本社と日本支社が一丸となってお客様のラボ型開発を支援しています。
また、将来的にはラボメンバーを中心にお客様の海外子会社として設立することも可能です。
オフショアラボ型開発や海外子会社化について少しでも気になることがあれば、NALにお気軽にお問い合わせください。