NALは起業してから、今まで10年事業を展開しております。創業メンバーは長年日本で留学し、働いたことで、多くの日本文化:アメーバ経営・Agileチーム運営・学習組織文化・学習組織文化+京セラDNAなどを学びながら起業家精神育成を持ち、起業してきました。したがって、弊社の社名であるNAL=Nippon Agile-style Leaderのような意味が込められております。
そこで、2013年よりNALのプロジェクトだけではなく、会社の全体組織にアジャイル化にしました。
企業経営を成功させるためには、自社が現在どのような状況にあって、何を・どう改善する必要があるのか、正しく把握することが必要です。よって、大企業だけでなく中小企業も、管理会計の導入を検討すべきです。管理会計が自社で適切に運用できるようになると、経営陣の意思決定がスムーズになるだけでなく、社員の意識も変わってきます。
NALはアジャイルチームに管理会計を導入しております。この記事では、アジャイルチームに管理会計を説明いたします。
経理の新・必須スキル、管理会計
中小企業ほど、 管理会計スキルが役に立つ
この10年で、管理会計を導入する、又はより一層力を入れる会社が増え ています。「管理会計なんて、人手に余裕がある大会社の話でしょ」と思う方もいる かもしれません。 しかし実際には、中小企業からの依頼が半数を占めます。中小企業の場合に特徴的なのは、経営者の方から熱心に依頼されることが 多いということです。
経営者の皆さんのお話によると、「従業員から決算書の内容についての説 「明がない」「自分がほしい数字がなかなか出てこない」 をいったコメントが 聞かれます。 私も経理実務の経験があるのでわかるのですが、 これは経理 担当者が手を抜いているわけでは決してありません。 人手不足も否めませ んが、それ以上に知識や情報が足りないということが原因と感じています。
これほどまでに経営者の方が熱望するのは、管理会計が会社にとって未 来を知り、未来を変えるための手法だからなのです。実は、中小企業こそ管理会計のスキルを発揮できる場といえます。なぜなら、 経営者と経理担当者の距離が近く、直接話せることが多いので、経営者のニー ズを具体的に把握する機会が多いからです。また、人手不足ゆえに、経理を担当しながら管理会計を兼務するという 働き方もとても多く見かけます。 私の経験から、情報や仕組みの面で一元 化できるため、むしろ兼務のほうが管理会計はうまくいきやすいとすら感じます。
会計だけでなく経営知識も身につく
中小企業で経理を担当している方の中には、経営に興味のある人もいる でしょう。当たり前のことですが、 決算数値と事業の状況は切り離せないものです。さらに、会社の規模が大きくないほうが、数字から事業の状況を 把握しやすいものです。「数字→事業」の順に理解ができるようになると、今度は「事業→数字」の順に考えられるようになります。まさにこれは経営 者の思考と同じです。
私が常日頃感じているのが、経理担当者の中には、「数字→事業」の順で の理解が苦手な方が少なくないということです。日常の経理業務に追われ、決算資料を作るだけで精一杯というのもよくわかります。 扱っている数字 は経営判断の重要な材料ということはわかっているものの、自分自身はな かなかそれを実感できないでいるのです。
このことは、とてももったいないことだと思います。 とはいえ、一足飛び に「事業→数字」 の考えにつなげるのは難しいでしょうから、まずは管理会計を経由することからはじめてみましょう。日頃、「数字→事業」の順で考えていると、慣れてきた頃にいつの間にか「事業→数字」の順で考えることができるようになります。
せっかく経理をやっているのであれば、会計だけではなく経営の面に触 れたほうが面白いのではないでしょうか。
経営面に触れる機会としてもっとも有効なのは、経営者とのやりとりです。経営者の意向を把握するときはもちろん、情報を提供したときの経営者 の反応も即座に知ることができます。中小企業ならではの経営者との距離 の近さを活かさない手はありません。
管理会計スキルを持つ人材は大幅に不足
日本の経理パーソンの中で、管理会計スキルを身につけた人材というのはまだまだそう多くはありません。管理会計人材の需要が多い一方で、供給は少ないということは、経理担当者である皆さんにとってはとても好都 合なことです。実際に私は、管理会計のスキルを買われて、大好きなディズ ニーに転職することができました。
特に、AI時代を迎え、経理の仕事が奪われるといわれる今、他の人と差 別化できるスキルとして、管理会計は強力な武器となるに違いありません。
また、皆さんの中には経理業務は細かくて性に合わないという方もいる かもしれません。管理会計は、そんな悩みを抱える方にはうってつけです。通常の経理業務は基本的に円単位で細かく計算しますが、管理会計は千円 単位でまるめて扱うので経理業務に比べるとおおざっぱです。さらに、将 来を良くするというポジティブさにひかれて管理会計を志向する方もいます。
数字を語る 「管理会計」 スキルはどこでも役立つ
会社の中の経理の話をしましたが、管理会計が役に立つ場面はそれだけではありません。お金を使うところであれば、それを記録することが求められますので、経理のスキルが必要になるわけです。つまり、お金の流れを把握するため、また横領や粉飾を避けるために数字を正確に残す「記録力」が求められます。うして、いくら使ったのかをわかりやすく伝える「説明力」です。まさにこしかし、経理スキルだけでは不十分です。次に必要になるのは、何に、どれが管理会計スキルなのです。「記録力」 に加えて「説明力」が必要なのは、 何も会計周りの仕事に限りません。特に、管理部門で仕事をする場合にはとても重宝がられるスキルです。 経理以外のキャリアに進む場合にも、管理会計を通じて身につけるスキル というのは十分役立ちます。つまり、管理会計は、キャリアを考える上でとても「コスパがいい」スキルなのです。
管理会計と経理の過去・未来
世の流れからも、 管理会計の波は来ている
公認会計士の知人が開発した「経営心理士」という資格は、受講者数が年々 増加しているそうです。 経営と心理と聞くと、一見相反することのように 思うかもしれません。 しかし、SDGsや働き方改革のように、最近では人 間の心理の要素が経営に大きく関わるようになってきました。 まさに、時 代の流れを反映しているといえます。
私たちに身近な経理の世界では、どのような変化が起きているのでしょう。資格関連でいえば、CFO協会ではFP&A (Financial Planning & Analysis の頭文字をとって「エフピーアンドエー」と読みます) 検定が始ま りました。FP&Aというのは海外の経営企画のことで、 管理会計もその主 要業務に含まれます。一般的に、資格の新設や人気度というのは、世の中の 動きを敏感に反映していることが多いものです。そう考えると、管理会計 も今まさに注目度が高まっているのだというのを実感いただけるでしょう。
経理の世界では、この20年で新しい動きがいくつも
2000年以降のこの20年間を振り返ると、経理分野では大きな変化がいくつも起きてきたことがわかります。まず、グループ全体の管理部門を集めて一括して担う「シェアドサービス」と呼ばれる専門の会社が登場しました。 主に業務を集約することで効率化 することを狙いに、大きな会社でよく見られます。と同時に、もう一つの目 的は、各社には置けないような専門人材を確保してグループ全体の経理レベルを上げることにあります。つまり、経理機能の高度化が期待されるよ
うになったのです。 このことは、 中小・中堅企業で経理をする皆さんも押さ えておいたほうがいい事実でしょう。
続いて起きた変化は、 経理業務の外部委託です。アウトソースともいいます。 自社に経理専門の部署を置くことが当たり前だったものが、一部又は全部 の業務を外部の会社に移す動きが活発になりました。これも、経理業務の 効率化や社内人材のコア業務への集中を目的とします。外部委託は一見新しい動きのように見えますが、 実は、中小企業では既に 取り組んでいる会社が多いはずです。 会計事務所への業務委託がまさにこ れです。会計事務所に記帳を委託したり、税務を委託したりということは、 皆さんの会社でも取り組んでいるのではないでしょうか。 すべてを自社で やるのではなく、リソースが限られていることを前提に、必要な部分を外部 委託するのです。むしろ中小企業では、会計事務所の活用を通じて、既に長 年の経験ゆえのノウハウが蓄積されている分野だといえます。
このように、現在起きている変化は、中小企業にも関係のあるものも多いのです。 起きている変化の本質や背景に注目すると、むしろ中小企業のほ うが先行している部分すらあります。すべての変化を不安に思ったり心配したりする必要はありません。
自動化の本当の目的は、高い価値を提供すること
さらに、この5年の間には、クラウド会計が普及しました。会計事務所 支援する形で中小・中堅企業を中心に普及が進んだので、皆さんの会社で 使っているかもしれません。むしろこの分野は大企業のほうが遅れてい と感じます。既に多額の投資をした立派なシステムがあるので、移行の断が難しいという事情もあるようです(ちなみにこのような判断の仕方 管理会計的には間違いです。詳しくは、第6章4の「埋没コスト」で一 に学びましょう)。機動的な判断ができるのは、比較的身軽な中小企業のメリ トといえます。
クラウド会計の特徴ともいえるデータ連携や仕訳提案の機能を使うと 以前なら人が手作業で行ったりゼロから判断していたことをシステムが わりに行ってくれます。この「自動化」により、仕訳入力などの作業時間 減るのです。しかし、本当の目的は時間短縮ではありません。削減によ 得た時間で、これまで手がつけられなかった価値の高い業務を行うこと あります。
もちろん、私たち個人の生活にとっては自動化できれば残業が減りワ クライフバランスがとりやすくなります。 しかし、経営者がクラウド会計 を導入する目的は私たちの福利厚生のためというよりも、管理会計に代表 されるような経営に価値ある情報を提供してもらうことです。 3年くらい 前から話題に上ることが増えたRPA (Robotic Process Automationの略、「アールピーエー」と読み、 パソコン上の作業の自動化のこと)もまったく同じです。特に、少ない人数で業務を回している中小企業の経営者こそ「価値ある
情報がほしい」という思いは強いはずです。クラウド会計やRPAを導入して「楽になった」と喜んで、そこで止まってはいません。その延長線上で、経営者が期待しているものを理解し、管理会計への取り組みをはじめることが大事です。
海外のトレンドを知れば、 今後に備えられる
私が勤めていた外資系企業では、当時経理業務のほとんどがアジアの他 国に移管されました。 英語をわかる人材がいる国は世界にはいくつもあ ため、 人件費が高いアメリカや日本で経理業務を行う必要はないという 断です。 日本でも、日本語がわかる人材が多い中国などの国に経理を移 する会社はよく見かけます。
中小企業の場合、状況はそう簡単に変わらないだろうと思われるかもしれません。しかし、私はその日は遠くないと考えています。 というのも、いつの間にか、 東京ではコンビニもファーストフード店も店員の多くは外国の方という時代になりました。以前は、接客業は会話が必要だから外国人には難しいと考えられていました。ですが、現在の状況をみると、いろい うなサービスを扱うコンビニでも、言語の壁は乗り越えられるということです。
では、業務の多くが国外で行われるようになった場合、国内にはどのよう な業務が残るのでしょうか。海外企業では、その国の中で行われる経理の 主要業務は分析や報告がいまや中心です。つまり、 管理会計に近い業務が 国内に残り、「経理」 として行われています。アメリカなどではRPAも進ん でいますので、 機械ができない経理業務が海外に移っているようです。つ まり、機械が行うものと海外で行われるものが経理業務の大半である時代 でも、管理会計だけは国内に残る可能性が高いといえます。
これは海外の話で自分には関係ないと思われるかもしれません。 しかし、 会計基準や仕組みなど、経理のトレンドは海外、特にアメリカから入ってくることが多いものです。 多くは、5年程度遅れて日本に入ってきますので、 そう遠くない未来予想図としてイメージしておくと、今後を考える上でいいかもしれません。
なぜ分析や報告などの業務は根強く社内の程理人材の業務として残って いるのでしょうか。 その理由は、Cではじまる2つの単語で説明できます。 カスタマイズ (customization) とコミュニケーション (communication) です。
分析するには、自社の事業や社内の状況を踏まえる必要がありますし、こ れらの情報なしには役に立つコメントはできません。つまり、仮に業種が 同じでも、会社に合わせてカスタマイズする必要があるのです。また、多くの場合、報告相手は経営者ですから、相手が何を期待している のか、どのようなことに関心があるのかを探りながら臨機応変に対応する必要があります。 まさに、適切なコミュニケーションが必要なのです。ルールに則って処理することが大事な一般的な経理業務と比べると、管理会計は性質が異なります。
まとめ
NALはアジャイルチームに会計管理を適用しており、今までま勉強したところや実践したところをまとめて共有いたしました。
アジャイルチームに会計管理の実現において、財務部門に求められるのは次のような重要なプラクティスに従うことです。アジャイルな財務組織は、戦略的考察の場面において必要な情報があり、目に見えない価値の源泉を測定・理解することでビジネスをリードし、他社に先手を打つことができます。
アジャイルなチームは、戦略的目標の進捗状況を継続的に測定し、プランニングのフレームワークを活用します。これにより、迅速に新製品やサービスを市場に投入することができます。アジャイルな組織は、先を見据えた分析でイノベーションと収益拡大の機会を見つけるとともに、何が価値を生み出していて、何が価値を生み出していないかを見つけることによって、リソース配分を改善することができます。
また、次のセクションを説明させていただきます。ご不明なところやご質問などについてNALまでお問い合わせ ください。