IT技術は社会になくてはならないものとなり、ITコンサルティングが必要とされる場面も広がっています。但し、ひとことでITコンサルティングと言ってもその役割には多様なものがあります。
現在、NALはITコンサルティングを社内教育・人材育成として実施しています。では、ITコンサルティングの中でも具体的にどのようなテーマ分類があるのか、本記事ではそれぞれの特徴をご紹介していきます。
1. ITコンサルティングの領域を俯瞰する
◆ ITコンサルティングの領域は多岐にわたる
インターネットが普及するなか、クライアントのIT戦略検討の延長線 上には、業界他社や社会をも巻き込んだ新たな事業機会を得る可能性があ ります。 ITコンサルタントは、クライアント社内における単なる業務効率化の視点だけではなく、 事業機会創出に向けてIT活用のアイデアを出 していく必要に迫られます。
そのためには、ITコンサルティングの領域を俯瞰し、IT活用の重点を 見定めていくことが大切です。また、立案したIT戦略を 「絵に描いた餅」 にしないためには、システム構築プロジェクトにも積極的にかかわり ク ライアントの戦略が実現するまで見届ける姿勢も重要となります。
ITコンサルティングの領域として、 「ビジネスモデルの変革 による経営の付加価値向上」「業務効率化や情報基盤整備による企業体質 の強化」「IT戦略立案やシステム構築の支援」の3つの視点で、個別テー マを解説していきます。
◆ ビジネスモデルの変革による経営の付加価値向上
企業がビジネスモデルを変革していくためには、ITの活用が欠かせません。たとえば、 オンライン書店のアマゾンは、日本で営業を開始して以 になっています。 アマゾンは、「ロングテール」によるニッチ消費の掘 り起こしだけにとどまらず、 検索エンジンへの最適化やリコメンデーショ ン機能の充実などによって、ビジネスモデルを拡大させています。アマゾ ンの成功を、ITなしに語ることはできません。
◆ 業務効率化や情報基盤整備による企業体質の強化
これまで、企業のIT化は、 投資をおさえるため、 部門ごとの業務改善が中心となっていました。 その結果、同じ企業でも部門によって業務用語やプロセスが異なったりするのも珍しくはありません。
近年、日本版SOX法*により、 統一されたルールによる内部統制強化が求められる傾向にあります。 また、 M&Aによる業務統合や他社連携強化 の視点から、社内の業務プロセス標準化のみならず、他社をも巻き込んだ業務プロセスの再構築が必要な状況となっています。
◆ IT戦略立案やシステム構築の支援
IT戦略を実現するためには、システム化を計画し構築していく必要が あります。しかし、計画段階では見えていないリスクの顕在化や、ステークホルダー間での利害関係の衝突などの問題発生は珍しくなく、ITコン サルタントの支援が求められます。
2. CRM
◆ インターネット時代に対応した新しいビジネスモデル
高度経済成長期は、正造な購買意送をもつ刺客が絶えることはなく、市場そのものが拡大し続けた時代でした。 企業利益を追求するために、新し い顧客の獲得を最優先に考える「マスマーケティング戦略」全盛の時代 が見込めない 「ゼロ成長時代」を迎えると、 新規顧客の獲得よりも、 既存 ともいえます。しかし、バブル経済が崩壊した1990年代以降、市場の成長 顧客の囲い込みに重点をおいた新しいマーケティング戦略の確立が企業の 経営課題となりました。 この解決策として登場したのが、 CRM (Customer Relationship Management) です。
CRMでは、企業が顧客との間に継続的な信頼関係 (Relationship)を結 ぶことを目的とします。なぜなら、新しい顧客を獲得することが難しい環境下では、自社の商品やサービスを繰り返し利用してくれる「お得意様」 を確保することが重要だからです。 そのために、 既存の顧客を大切にして、満足度を向上させることがポイントとなります。
◆ 「顧客満足度」と「企業利益」の双方を向上させるCRM
CRMを説明する際によく引き合いに出される例として、近所の個人商店やデパートの外商があります。 個人商店では、顧客は顔見知りであり、 好みや財布の中身まで把握できるため、顧客の状況に合わせたサービスを提供することができます。また、富裕層相手の外商と呼ばれる訪問販売は、顧客の趣味やグレードに合わせた特別な提案サービスが顧客を満足させ、何世代にもわたる「お得意様」として取引の継続に成功しています。
CRMのコンセプトは、個人商店やデパートの外商が特定少数の顧客に 対して成功している取引を、 不特定多数の顧客へ広げることにあります。 従来、顧客とのフェイス・トゥ・フェイスで集められていた情報は、 CRM では電話・郵便 ATM・インターネットなどさまざまなチャネルから収集されます。 集められた 「顧客からの生きた情報」 は、 個人のノウハウではなく、巨大な顧客情報データベースに蓄積されます。
3. SCM
◆ サプライチェーンにおけるボトルネックの解消が求められている
企業を取り巻く経営環境が激変し、顧客の需要をいち早く感知して製品 を市場に投入し利益を回収するまでのサイクルが、 どんどん短期化してい ます。 企業は、厳しい競争に勝ち残るために、従来のビジネスモデルを見 直し、さまざまな改革を進めています。
サプライチェーンカウンシルによれば、 SCM (Supply Chain Management)とは、「原材料の供給者から最終需要者に至る全過 程の個々の業務プロセスを、1つのビジネスプロセスとしてとらえ直し、 企業や組織の壁を越えてプロセスの全体最適化を継続的に行ない、 製品・ サービスの顧客付加価値を高め、企業に高収益をもたらす戦略的な経営管 「理手法である」と定義されています。
◆ 多拠点に及ぶ調達・生産・販売の一体化と最適化による解決法
SCMによる企業の問題解決の具体例として、 多拠点生販一体化・最適 化ソリューションをあげることができます。 これは、グローバル化によっ て、調達、生産、販売の拠点が世界各地に分散しているような企業環境に おいて、情報を統合一元化することにより、 販売計画と生産計画、 複数 拠点の業務を同期させ、顧客需要に応えながら、 スループット (貢献利益)の最大、在庫削減、トータルコストの最小化を実現していくものです。
◆ ロジスティクスの可視化と最適化アプローチ
サプライチェーンの広域化、国際化にともない、 物流 (ロジスティク ス)の領域は、ますますブラックボックス化し、 ボトルネックとなる危険 性があります。
実際、物流リードタイムの状況がどうなっているのか、輸送距離や配送 重量に対してどれだけのコストがかかっているのかについて、 物流業者か ら提示される請求書以外、まったく分析していない企業も多いのではない でしょうか。物流業者(3PL)との関係構築・連携を含め、調達・販売 の各プロセスでの物流情報・コスト情報を可視化し、物流計画と実行を最適化することにより、 企業・組織間の連携が合理化できます。
4. ERP
◆ 企業情報の統合管理による経営効率化の必要性
競争優位の礎を築くためには、グローバル展開に対応できる業務遂行と管理のしくみを整備しなければなりません。そのために、 ヒト、モノ、カ ネ、および情報を企業全体にわたって可視化しながら、それを最適に配分 することで、経営の効率化を図っていくERP (Enterprise Resource Planning) のコンセプトを導入する企業が増えています。そのコンセプト を実現するために、ベンダー提供のERPパッケージを中心にアプリケーションケーションシステムを構築する動きも加速しています。
◆ ERPパッケージ市場はSAPとOracleによる寡占化が進む
ひと口にERPパッケージといっても、海外ベンダーか、国産ベンダーか、パッケージの源流が会計なのか、 生産管理なのか、物流管理なのか 製品構成が完全統合タイプか、 必要な機能だけを選択して組み合せるタイプかなど、 生い立ちやコンセプトによる特徴はさまざまです。 各パッケージの特性については、ベンダーの製品カタログや機能説明のほか、過去から現在に至る導入実績や事例を中心に、導入先の企業規模や業種別の傾向 を調べることによって、 推し量ることが可能です。
ERPパッケージとして市場に認知される製品を提供し続けるためには、さまざまな業界、地域における利用企業の業務プロセスや経営課題に精通し、最新のITによって解決策を実装するといった企画開発力、 販売・サ ポート体制が必要となります。結果として、歴史が長く豊富な資金力を持ち、販売実績を誇るグローバル企業の寡占化が進んでいます。
◆ ERPパッケージ導入のステップ
ERP導入の中心となる作業は、実際にERPパッケージを導入し、新システムを本番稼動させるまでのプロセスになります。このプロセスは、しばしば1年がかりの作業となり、専任のプロジェクト体制が敷かれるのが一 般的です。
ITコンサルタントは、このERP導入プロジェクトにおいて、PMOのメンバーとして参画したり、プロジェクトの上流工程であるプロ ジェクト計画策定作業や現行分析・新業務モデル策定作業、 FIT/GAP分 析や文書化作業の担い手、あるいはアドバイザーの立場で参画します。 FIT/GAP分析は、パッケージ導入プロジェクトに特有の作業で、これから導入するパッケージが対象業務領域においてどの程度適合するかを見 極める作業です。
5. ナレッジマネジメント
◆ 企業に求められる継続的な価値拡大の核となるナレッジ
企業には、よりよい製品やサービスを提供することで利益をあげ、継続的に企業価値を拡大する使命があります。工場生産を中心とした企業が多かった時代には、企業価値は主に生産量で算出することができました。資源の投入(インプット) と製品の生産 (アウトプット)の関係で企業価値 を求める考え方です。製品を大量に生産することが企業価値を高めることであり、生産性が重要な指標でした。そのため、経験の浅い要員でも熟練 者と同じ生産性を確保できるようにマニュアルが用意されました。熟練者 のもっているノウハウを未熟練者にもわかりやすく提示するという意味で、初期のナレッジ活用例といえるでしょう。
多数のマニュアルワーカーと少数のホワイトカラーで組織された企業に おいては、生産量を企業価値の指標とする考え方はある程度機能していました。しかし、ホワイトカラーが多数を占める企業が増えると、旧来型の 指標では企業価値の説明が難しくなります。そのような企業にとって重要 な指標は、「投入人数」ではなく「価値を生み出す人材」だからです。激しい企業間競争に勝ち残るためには、目まぐるしい環境変化に適応し、他 社に先駆けて新しいナレッジを生み出せる人材が必要であり、ナレッジを 常にブラッシュアップし続けることの可能な組織作りが重要となります。
◆ ナレッジマネジメントの知識創造プロセス 「SECIモデル」
資本や土地、労働などの伝統的資源は、「使うと減り」 「使わないと残 る」という性質をもっていますが、ナレッジは資源でありながら、 「使わ ないと減り」 「使えば使うほど増える」というユニークな特徴をもって ます。
使われないナレッジは瞬く間に陳腐化し、 使われるナレッジは次々と新 しい価値を生み出します。 従来、企業価値を高めるためには、伝統的資源 をいかに「活用」できるかが鍵でした。ナレッジについてももちろん「活用」 は必要です。しかし、企業を取り巻く環境の変化が激しい今日では、ナレッジを使える資源としてブラッシュアップし、環境に適応した新たな資源として「創造」することが重要となります。
このナレッジの「創造」の重要性を指摘し、ナレッジマネジメントの知識創造プロセスを提唱したのが、一橋大学大学院の野中郁次郎教授と竹内 弘高教授です。野中教授らは、優れた業績を上げている企業を分析し、そ こにナレッジの共有だけではなく、ナレッジ創造による価値創出を見出し ました。このナレッジ創造のプロセスを体系化し理論化したものが、 SECIモデルです。
◆ 「エンタープライズサーチ」によるナレッジの横断的な検索
一般的にナレッジマネジメントとは、組織のメンバーが蓄積してきた業務上の専門知識やノウハウをナレッジと定義し、 このナレッジを組織の全員が活用できる共有の資源として整理統合することと考えられています。 ナレッジを収集・登録し共有するしくみを支援するツールとして「グル ープウェア」がよく知られ、 IBM社の提供するLotus Notes や、 サイボウズ社の提供するサイボウズ Officeなどが有名です。 グループウェアは、電 子メール機能、 電子掲示板機能、 ドキュメント管理機能、 スケジューラ機能、ワークフロー管理機能などを提供し、 初期のナレッジ共有には成功を 収めてきました。
しかし、グループウェアに登録されたナレッジは、 企業の蓄積する巨大 なデータ群のほんの一部に過ぎません。 「形式知」 として意識的に登録さ れるナレッジのほかに、膨大な情報が存在しています。 本来、 これをナレ ッジとして活用すべきなのですが、 音声や画像、 CAD情報など構造化が 難しくデータベースに格納しづらい情報の取り扱いや、 複数の組織 サイ トにデータが分散されていることなどが制約となり、活用は遅れていました。
6. EA
◆ EAのデファクトスタンダードは 「ザックマン・フレームワーク」
EAのフレームワークとして世界的に最も著名なものに、 Zachman 氏の 提唱するザックマン・フレームワーク (The Zachman Framework for Enterprise Architecture) があります。 ITと業務の全体を見渡して最適 化を図るために、プレーヤーの視点と5W1Hの視点という2軸を採用したマトリックス型のフレームワークです。 これを活用してアーキテクチャ を設計することにより、過不足なく整合のとれたシステムの考案や構築が できるようになります。
◆ EAの基本構成と策定手順
EAのもつ基本構成、導入の手順や成果物、導入後の期待効果について は、経済産業省の「業務 ・ システム最適化計画について (Ver.1.1) Enterprise Architecture策定ガイドライン〜」にわかりやすく記載されて います。このガイドラインによれば、EAは、業務について表現するビジ ネス・アーキテクチャ、データアーキテクチャと、システムについて表 現するアプリケーションアーキテクチャ、テクノロジ・アーキテクチャ という、4つの主要なアーキテクチャモデルから構成されています。 これを使って、 次に示す策定手順で構築していきます。
・前提の明確化
・現状 (Asls) モデル分析
・理想 (ToBe) モデル設計・策定
・次期 (Next) モデル設計・策定
・成果物の改訂とリファレンスモデルの策定
◆ 理想を追求しすぎず現実的にToBeモデルへ移行する
AsIs から ToBe へ至るEAの構築に際しては、ITコンサルタントを構成 メンバーに含む「EAオフィス」をCIOの配下に設置し、EAオ フィスがEAに関するガバナンスを握るのが効果的なアプローチです。そ して、ポリシーや標準EAプロセスの制定、EA構築のガイドラインの発信 などを行ない、EAの構築を推進していきます。
ただし、歴史の古い企業になればなるほど、旧来のシステムアーキテク チャを引きずっており、おいそれとはToBeに移行できません。ITコンサ ルタントは、実現可能な次期モデルを積み重ねながら、長期的に段階を踏 んで移行プロセスをリードしていく必要があります。 たとえば、当初は設 計を担当するシステムの範囲でアプリケーションアーキテクチャとテク ノロジ・アーキテクチャのみを先行してモデル化しますが、 何度かのシス テム構築の機会をへてリファレンスモデルを洗練させながら、徐々に適用 範囲を広げるといった取り組みをしていきます。
7. 情報セキュリティ対策
◆ 情報セキュリティ管理のPDCAサイクルを確立する「ISMS」
企業が保護すべき情報資産について、 PDCAサイクルを確 立し情報セキュリティの維持・改善を図るためのしくみが、「情報セキュリ ティマネジメントシステム(ISMS) 」です。 ISMS (Information Security Management System) では、 情報システムに関するセキュリティレベル 「機密性」 「完全性」「可用性」の3つの側面から定義しています。
許可された人だけが情報にアクセスできることが機密性であり、情報と情報処理の方法が正確で完全であることが完全性、必要な人が必要なときに情報資産にアクセスできることが可用性です。これらのセキュリティレベルを損なう故意または偶発的な事象が脅威です。
データやハードウェア、ソフトウェアなどの情報資産は、脅威によって影響を受けてしまう弱さ (脆弱性)を内在しています。脅威が情報資産の 脆弱性に作用して、損失を与える可能性がリスクであり、リスクへの最適 な対策を検討したうえでリスク管理を徹底することにより、セキュリティの確保が可能となるのです。
ISMSの要求事項は、情報セキュリティの国際標準規格としてISO27001にまとめられていますが、わが国でも、これに対応して、財団 法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)が「ISMS適合性評価制度」を運 営しており、セキュリティ関連のコンサルティングを実施するうえで拠り 所となっています。
◆ 情報セキュリティ対策の要となるセキュリティポリシーの策定
情報セキュリティを確保するために最初に行なう作業が、 情報セキュリ ティポリシーの策定です。企業全体の取り組み方針をセキュリティポリシ ーとして文書化し公開します。
次に情報セキュリティポリシーに沿って情報セキュリティのガイドライ ンを策定します。これをもとにセキュリティの運用管理体制を確立し、個 別の運用ルールを決めてマニュアルを作成していきます。
この一連の流れは、ちょうど、 企業の理念や経営ポリシーに従って経営ビジョンや事業戦略が策定され、事業戦略に沿ってIT戦略やシステム化 計画が策定され、それらが実行に移されるのとまったく同様です。
8. CIO支援
◆ CIOはIT戦略の立案と実行を統括する責任者
CRMやSCM、ナレッジマネジメントな ど、ビジネスプロセスを変革する経営手法の実効性を高めるためには、そ の基盤づくりとしてITの導入と活用が欠かせません。 経営戦略は、 それ 単独ではなくIT戦略と一体で策定する必要があります。
しかしながら、 経営者がITについて知るべきことはあまりにも多岐に わたっています。 たとえば、 RFIDやERPパッケージなどの 個別技術から、 開発プロセスモデルやEAにいたるまで、IT戦略でとりあげる内容は非常に幅広くなっています。マウスイ ヤーで進化するITをキャッチアップし、経営革新に活用していくために は、IT戦略を立案し実行する専門的な人材が必要です。 それが、CIO (Chief Information Officer) です。CIOは、 経営陣の1人として企業の情報管理における意思決定に経営的な責任をもち、経営戦略に基づくIT戦 略の策定、IT戦略に基づくIT技術の活用方針の決定、IT部門におけるマ ネジメントなどを統括します。
◆ CIOの課題解決を支援するITコンサルタント
企業におけるIT戦略立案・実行の中核人材ともいえるCIOは、主に次の 3つの問題を抱えています。ITコンサルタントは、これらの問題に対して解決策を提案し、その実行を支援します。
・戦略の実現に向けた全社的な舵取りが難しい
・IT導入・活用が進まない
・アーキテクチャが全体で最適化されていない
◆ IT戦略のロードマップを描き実行も支援
IT戦略のロードマップを描き実行も支援 ITコンサルタントは、CIOのブレインとなるべく、 経営戦略の実現に向けてIT戦略を実行するロードマップを提案します。 また、IT戦略の策定 会議に参加したり、経営会議などでのプレゼンテーションも行ないます。
・ITガバナンスの強化
・IT導入・活用の促進
9. PMO支援
◆ ITへの期待が高まるとともに、プロジェクトのリスクも増大
PMO (プログラムマネジメント・オフィス) が有名になったのは、 2006年1月に政府が発表した 『IT新改革戦略」において、 各府省のPMO の整備が明記されたことによります。 PMOは各府省のCIOの もとで、情報システム全般の業務について責任をもって統括する組織とさ れています。政府レベルや経営レベルのマネジメントを支援する機能が PMO (プログラム・マネジメントオフィス)です。
一方、情報システム分野ですでに広く普及してきたPMO (プロジェク ト・マネジメント・オフィス)は、組織全体のプロジェクトマネジメン トの能力と品質を向上し、個々のプロジェクトを支援することを目的に設立された専門部署です。 リスク管理や体制強化など、プロジェクトのマネ ジメントを支援する各種の機能を提供します。
◆ 標準的なプロジェクトマネジメントのしくみを構築
標準的なプロジェクトマネジメントのしくみを構築 PMOには、大きく分けて3つの基本機能があります。 そのうちの1つ が「標準化機能」です。プロジェクトを推進するにあたって、標準化は大 切です。なぜなら、プロジェクトマネジメントの優劣によってプロジェク トの結果に大きな違いが生まれるからです。 常に優秀なマネージャがプロ ジェクトを担当するとは限りません。 その企業にとってのベストプラクテ イス (119) と呼べるマネジメント標準を策定し、 誰が担当してもうまくプロジェクトマネジメントができるしくみを構築することが重要です。
PMOが担う標準化機能には、品質管理、 コスト管理、 進捗管理、 リスク管理などのマネジメント基準のほかに、人材育成や資源調達が含まれる こともあります。
10. ITデューデリジェンス
◆ M&Aの普及によりIT デューデリジェンスのニーズが拡大
「デューデリジェンス」とは、本来、M&Aに関する意思決定に先立ち、 対象企業の価値や実態を把握するための「調査作業」を指しています。 調 査対象によって、ビジネスデューデリジェンス (事業活動)、ファイナ ンシャル・デューデリジェンス* (財務諸表)、リーガル・デューデリジ ェンス(法的問題点)に分類できます。このうち、ビジネス・デューデ リジェンスとは、組織・人事、調達・生産・販売および財務活動、研究開 発活動の業務領域を対象とするもので、ITコンサルタントが担当するIT デューデリジェンスも、この一環として実施されます。
大掛かりなM&Aが盛んな金融業界では、 IT デューデリジェンスの実施 例が豊富にあり、中心的なテーマの1つになっています。 これについて は、すでに監督官庁の金融庁から「システム統合リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」 が提示されており、参考になります。
一般的にITデューデリジェンスは、統合効果の早期享受を図るため、 限られた調査期間で実施することが多くなっています。 したがって、業務 プロセスとの関係に留意しつつ調査範囲の網羅性を上げて、現状の機能性 や信頼性、拡張性を評価しなければなりません。また、今後の利用動向を
◆ IT資産の現状を棚卸し定量的に評価する
IT デューデリジェンスでは、ハードウェア、ソフトウェア(パッケー ジ・ミドルウェア OS) のライセンス、 自社開発のアプリケーションな どを対象に、 IT資産が適正に維持管理され利用されているかを調査し評価していきます。 現場調査・ヒアリングの結果、 収集資料などをもとに、 価値の高い優良資産、利用促進対象資産、 改善対象資産、 廃棄対象となる 不良資産を明確に識別することを目指します。
ITコンサルタントは、ITデューデリジェンスの作業を通じて企業にお けるIT資産評価の基準と評価結果を明確にし、今後のIT資産活用の効率 化・最大化の推進、M&Aに際してのシステム統合計画の策定をガイドす る役割を担います。
ITコンサルティングは何なのか、ということをより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
【社内教育】IT コンサルティングの基礎シリーズ:コンサルティングとは?(1/6)
まとめ
ITコンサルティングの様々なプロジェクトテーマについてご紹介しました。
今のところ、NALはITコンサルティングはもちろんですが、最先端のIT技術を取り入れたイノベーション支援でのIT活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)、AI・RPAのシステム構築、サイバーセキュリティなど広範囲でのITコンサルティングサービスを提供しています。